快晴の朝、長岡監督ほか、プロデューサー陣をはじめ関係者の見守る中、本線収録30分前にエクリュア役の清水香里嬢がスタジオ入り。
アニメオリジナル、エクリュアの“鼻歌”というか“もろ歌”の収録のための早入り。
監督が切ったコンテに書かれた、歌詞?を森岡先生が翻訳。
そして、監督みずからブース内に入り、つきっきりで歌唱指導。
「上手すぎる」
「一応音痴という設定なので…」
「もっとはずして」
「歌詞の合間にフンフンとか、ランランとか入れて」
「いい感じなので、倍速で」
などなど、監督の無茶とも思えるリクエストに、清水さんががんばって応える。わずか数十秒のカットながら、なかなかの出来上がり。完成度はみなさん自身で確認してください。
そして間もなく本線開始。
森岡先生もスタジオ入りし、Aパートのテストがはじまる。
通常、開始前に監督のご挨拶やらプロデューサー陣のご挨拶やらの儀式があったりするのだが、星界はもうスタッフもキャストも顔馴染みなので、ご無沙汰してます程度のやりとりだけ。
サクサクとすすみ、本番、抜き録りが終わる。
そして、いつものアーヴ語収録。
翻訳者である森岡先生がブース内に入り、口移しでアーヴ語を指導。キャストのみなさんは覚えたてのアーヴ語に演技をつけくわえて実践。
アーヴ語はじめてのみなさまの苦戦ぶりを微笑ましく眺めさせていただきました。
休憩をはさみ、Bパート収録。こちらもじつにスムースに進み、収録は無事に終了。
その後、マスコミ各社の合同取材となりました。
AR座談会《めぐりあう星たち?》
―― ARを終えての感想をおひとりづつお願いします。
- 清水:
- CDドラマが合間に入っていたので、ものすごく久しぶりって感じは実はしてなかったんです。でも、実際に絵をみながら演ったときに、あ!なんだか久しぶりだなという気がして、懐かしいのととまどいがありました。
あと今回はエクリュアがとてもいっぱいしゃべるようになってたので、思い出しつつがんばりました。
- 監督:
- 歌は?
- 清水:
- あああ(笑)。
- 監督:
- こっそり?(笑)。
- 清水:
- 歌いました、わたし(笑)。本編の中で。
エクリュアが歌うシーンがあるんです。しかもアーヴ語で。
エクリュアは、ちょっと音痴という設定なので、一生懸命に音痴を演じさせていただきました(笑)。
- 川澄:
- 戦旗Ⅱから…
- 監督:
- 3年…、3年半かな。
- 川澄:
- 3年半ぶりということで、たしかにCDドラマはあったんですけど、やはり絵がついてると、ぜんぜん違ってて、感慨深いと思いながらやりました。
ⅡからIIIの間って、ジントたちとしては時間がそんなに経ってませんが、わたしの上には三年半の月日が流れてて、そんな意識をしたつもりはないんですけど、ちょっとジントにたいして冷たいって言われてしまいました(笑)。
まだ倦怠期もむかえていないのに、冷たくあしらってしまいまして。
いけないいけないと、やりなおしましたけど…大丈夫でした?
- 監督:
- いや、もう、はい。
- 今井:
- かわいく、ね(笑)。
- 川澄:
- かわいくかわいくと、十五か所くらい台本に書き込みしました(笑)。
今回は、ラフィールは星界軍を休暇中ということで、艦長としてのセリフがまったくないので、とても楽です(笑)。
みんなはたいへんそうでしたが(笑)。
- 監督:
- わたしも、3年半ぶりということで、その前の紋章から戦旗Ⅱまでが3年続けてやってたので、ブランクはなんでもないと思ってたんですけど、始めてみたら忘れてる忘れてる(笑)。
あらためて、こんなに設定の多い作品をよくやってたなと、びっくりするくらい。膨大な量の設定を確認するのと、気分をとりもどすのにちょっと時間がかかりましたね。
それと、いままでは小説1冊分を1クールに、みたいな感じでしたが、今回はDVDで2本なので、TVシリーズとの違いをどうだしていくのかというのが最初苦しんだところです。
キャストの方々に関して言うと、実際星界は3年半ぶりですが、わりとみなさんの声をTVで聞いていたので、個人的には久々の感じがせず、それは逆にけっこう力強い味方がいるというのを常に思ってました。
大きい流れでいうと、ジントとラフィールの一番幸せな時期を描くシリーズなのかなと、少年期のしめくくりというか。たぶんこれから不幸のどん底に、それぞれのキャラクターが向かっていくと思うんですが、その直前の一番幸せなところを楽しく描きたいなと思ってつくってます。一本目はジントとラフィールの、ビター&スィートで言うと、スィート編という感じです。で、次はジント、ちょっと辛ぇなぁという部分。その対比を描けたらなと思ってます。
あとはエクリュアの歌ですかね。つかみというかおもしろどころなので、全然本筋にはまったく関係ないのがなんともあれですけど。
前後編合わせて一本なので、そのへんは見て感想などいただきたいと思います。
- 今井:
- 監督が、びっくりするぐらいのことをこの作品ってやってたんだとおっしゃいましたが、まったく同じことをわたしたち役者も感じていたというか…。こんな難しいセリフ話してたんだって。
でも、オープニングテーマを聞いたら一瞬にして戻ってきたって感じです。
現場にきて、ほんとに数年ぶりにみんなと会って、昔どおりにやれるかというと、多少むずかしかったところもあり、ゲストにこられた方たちも、これむずかしいねむずかしいね、どういう意味っておっしゃられるので、説明したりとか、まぁどうなることかと、CDドラマのときは思ったんですけど、回をかさね、とりもどしたところがあって、今日こうしてアニメをやって、どこかで終わったあとでほっとする瞬間が、他の作品より多かったりとか、前の晩に、力がはいっちゃって眠れなかったりとか、いまだに…
- 監督:
- いまだにある?
- 今井:
- うん。いまだにしちゃうんですよね。
一回こっきりだからっていうのがすごく強い作品なんですけど、そういう気持ちが、見ているみなさんに伝わればいいなって。
- 山田:
- あいかわらず凄くしゃべってる人でセリフが長いんですよ。自分のセリフにつっこみいれながらまたしゃべってる、ひとりよがりなしゃべりの人なんです。内容のむずかしさや長さはたいへんでしたけど、久しぶりのアトスリュア、自然に、すっと入っていけて、あ、こんなに馴染んでるキャラなんだなと再確認しました。
それと前は、ラフィールとたまに会話をするぐらいだったんですけど、今回は大好きなソバーシュさんとたくさん会話してまして、山田美穂的にはとてもうれしい作品になってます。
前に比べると、ソバーシュさんもエクリュアも、なんだか動きが多いというか…
- 監督:
- それはビデオだからでしょう。
- 山田:
- え?
- 監督:
- ああ、嘘です嘘です。
ストーリー的にそういう状況なんです。
- 山田:
- (笑)。
戦い以外のときのキャラが出ていて、とても楽しい収録でした。
- 監督:
- 山田さんは3年半どころじゃないですもんね。
- 川澄:
- え?
- 山田:
- そうそうそう。
- 監督:
- Ⅱは出てないもん。
- 川澄:
- あ、そっか。
- 山田:
- そうだよ。
―― 3年半ぶりに新しいシリーズがはじまると聞いたときの感想を
- 清水:
- 困った。
(笑)。
はじめて星界の戦旗に参加したときは、まだ高校生で、制服で現場にきていて、学校あるから先に帰っていいよとか言っていただいたりとか、ほんと、ピュアなままの声だったので(笑)。
- 監督:
- いたいけなかったころで。
- 清水:
- そう、いたいけない声だった私がもう、22になってしまい、人生の酸いも甘いもわかりはじめてきて…
- 川澄:
- そんなこといわないでよ(笑)。
- 監督:
- そ、そんなこと聞くと…
- 清水:
- そんな中でエクリュアのような役ができるのかなと思ったんですが…、意外に、演ってみたら、この歳になった方が、エクリュアはやりやすかったりして(笑)。
- 監督:
- 毒が?
- 清水:
- そう。
エクリュアの毒の部分が楽しくできるようになったんで、凄いよかったです。
- 川澄:
- 戦旗Ⅱが終わってから、次はいつやるんだろうって。
一年にいっぺんくらい、やるらしいよ、やるらしいよってずっと聞いてて、やるらしいよのまま3年経って、今回やるっていわれて、また実現しなかったら嫌なので、期待してなかったら、ほんとに実現して。
ほんとにうれしい。
言ってましたよね?
- 監督:
- そうだっけ?
- 川澄:
- あれ?
やりますよって言ってたけど、いつになるのかって感じで。
やっぱり三年半あいてしまって、実現するのかなと思ってたら、実現してしまって、ファンのみなさまが応援してくださったおかげだと思うんですけど、ありがたいなと。
ね。
- 監督:
- そうだね。普通3年半も休んだら、待ってくれてる人いるのかななんて思っちゃうもんな。
- 川澄:
- そんなこと、監督に言われたら(笑)。
- 監督:
- ありがたいよね。
- 川澄:
- せちがらくて、最近は、いろんなことがあって…、
- 監督:
- サイクルがね。
- 川澄:
- ええ、早いじゃないですか。
ああ、もう?みたいな。
こんなに長く愛され続ける作品に参加できて、ありがたいなと思ってます。
- 監督:
- ビデオだぞっていうのが一番アレですかね。
あとは、それまで他の作品をやっていたので、3年前の気分に戻れるかという心配がありました。
もう忘れてるところが多くて。
そのへんだけですけどね、情報的なものだけで、キャラクターの心情的なものは大丈夫だったんですけど。
前の作品をやってたスタッフがほとんどいなくて、あらたなスタッフが8割。みんなに説明しながら自分も思い出すっていう、それが一番しんどかったですね。
これからダビングして、完パケるわけですけど、すごい楽しみです。いままでの星界のなかで一番楽しみかもしれない。
- 今井:
- あれから3年経って、みんないい具合に歳をとってるし…、
いい具合によ。
- 山田:
- いい具合にね。熟してきてね。
- 今井:
- そう。
いい具合に歳をとって…、
- 監督:
- 言葉を選びますね(笑)。
- 今井:
- やっぱり、「もうちょっと若かったかな」とか、音響監督さんに指摘されて、ああそうかって(笑)。
やりはじめて何回かたつと、馴染んできて、キャラが自分におりてきやすいとか、ただ難しいセリフでとちっちゃったりして。
懐かしさと新たな気持ち、特にジントは今後もいろいろ苦しい場面とかでてきて、でもラフィールがいるから、明るくいきていけるとか、そういうった意味ではラフィールの存在なくしては生きていけない。
デルクトゥーでの親友とか、育ての親とかでてきますけど、かれらとの再会も楽しみにしていたんだけれども、やっぱり彼のなかではラフィールの思い出と、今後のラフィールとの生活とか一番大事かなと。
そのへんの男性の心っていうか、そういうのも多少考えながら、自分の気持ちでセリフを言えてければいいなと。
だから、再開を聞いたときには、ああ、戻ってくるだろうなって思ってたんで、戻れたらいいなと思える現場をみんなで作ってきたつもりなので、そういった意味ではほんとにうれしくて。
- 山田:
- わたしは待ってましたって手放しで喜んだほうで。前回終わったあとで、「星界、いい作品ですよね」「すごく好きなんです」っていわれることが多かったので、これはまたできる作品なんだろうなって信じていたので、聞いたときは、やっときたかなと。
メンバーがあつまっても、すぐに前の感じに戻れたので、やっぱりこういういい空気の流れてる現場だったよねって思いました。
―― 今回のみどころと、次回に期待するところ
- 清水:
- みどころ、歌はもちろんなんですけど、エクリュア個人としては、いままでこのシリーズでアーヴ語をしゃべったことがなかったんです。みなさんしゃべってて、たいへんだよぉって聞いてたんですけど、ずっとなくて。エクリュアってアーヴ語をしゃべんないんだぁと思ってたんですが、今回、しゃべってて、しかも誰よりもしゃべり、そして歌いと。
今回のシリーズは、ラフィールとジントが艦をおりて、ソバーシュさんが艦長になって、微妙にみんなの位置がかわってきたので、エクリュアもしゃべることになったのかなと、いままでと同じなんだけど微妙に違うところを楽しんでいただければ。
期待するところは…
- 監督:
- 特になし?
- 清水:
- (笑)。
特になくはないですよ。
そうだな、やっぱり個人的にはラフィールとジントがいて、ソバーシュさんとサムソンさんがいてという初期のかたちに戻りたいです。
- 川澄:
- アーヴ語の歌だと思うんですけど(笑)。
あと、ほんとに懐かしいひとたちがたくさんでてきて、たとえばセールナイさんとか、セールナイさんは紋章のフェブダーシュ男爵のとき以来でほんとに懐かしい顔ぶれで、ほんとにうれしかったですね。まだラフィールが艦長になる前で、逃げまくってたころですからね。
すべての話のはじまりであるジントの故郷のひとたちがでてきて、過去を清算じゃないんですけど、これを解決しないと前に進めないので、ティルと会って、過去を乗り越えていくところが、切なくもあり、見どころじゃないかと。
- 今井:
- 上巻のみどころとしては、いままでは戦旗だけでいうと、戦闘シーンが多くて、みんなが鬼気迫った感じで、途中にサムソンさんのダジャレとかありましたけど、ゆっくりと、あたりまえのことができなかった。そのあたりまえのことがそれぞれの、いままで我慢してたこととかをやっているところで、それぞれみどころだと思うんですけど。
今回、絵も完璧に近いくらい入ってて、こんなに絵の入っている現場は久しぶりだなってくらいできてたんですけど、あんまりでっかい声ではいえないんですけど(笑)。ソバーシュさんとエクリュアとの会話とか、「わるいねみんな」みたいなセリフがすきだったり、みどころだと思います。
川澄さんに、テストで愛情をいただけなかったので、次回は、テストから愛情を受けられるように希望いたします。
- 川澄:
- 愛情はあるんですけど、…照れて
- 今井:
- けっこうきびしかったんで。「ばか」っていい方が。
- 川澄:
- 「ばか」は難しいんですよ。
- 今井:
- 難しいよね。
- 監督:
- 「ばか」で、喜怒哀楽を表現しなければいけないからね。
怒が強かった。
- 川澄:
- アイが感じられなかったですか?
- 監督:
- 哀じゃなくて?
- 川澄:
- ちがいます、愛情のほうで。
- 今井:
- 会話するジントとしても、引きだせなかったのは残念だったけれども。
後半のほうはもっと、今日よりがんばります。
- 山田:
- わたしの印象だと、ジントとラフィールって悲壮感にあふれた二人だなって感じだったんですけど、今回はなんだかやけにほんわかしててそれが今後、辛い運命をたどっていく、つかの間の休息にちがいないんだと思うと、見ていて切ない感じになりますけれど、そのへんがみどころだと思います。
そしてわたしとソバーシュさんの軽妙な会話。
…つっこんでつっこんで。(註
- 監督:
- そんなあほな。
ソバーシュさんは、なにげに艦長服だったんですけど、誰も気が付いていないような。
- 今井:
- ああ、言われてみれば。
- 山田:
- 自分のセリフでいっぱいいっぱいでなかなか人の衣装までは(笑)。
- 今井:
- 頭環にも片翼がついてて。
- 山田:
- わたしは双翼頭環で。
―― 監督に、今回は、いままでのキャラクターをだしてきて、それぞれを描くというのが主題なんでしょうか?
- 監督:
- 尺の問題もいろいろあるんですけど、基本的に描くべきはジントとラフィールの二人ということで。他のセールナイであるとかサムソンであるとかは、どっちかっていうと、現在おかれている状況を示すための立ち位置に徹してもらって、極力ジント、ラフィールに尺をさいたつもりです。
他のキャラクターファンのみなさまは、多少ものたりなさを感じてしまうかもしれませんね。
本来なら蹂躙戦隊のおもしろいキャラも描きたかったんですが。ジント、ラフィールの幸せなシーンをできるだけやりたかったっていうのが大きいです。
そういう意味ではわかりやすいシリーズになってます。
少年期の終わりっていうか、つらい現実を受け入れて行く二人。
青春編完って感じですね。
―― ファンにひとこと
- 清水:
- ひさしぶりに戦旗をやりまして。いままでとちょっと違った楽しみ方ができるIIIだとおもいます。
あとほんと、歌がんばりましたので、聞くに耐えなかったら音をしぼってみてください。
- 川澄:
- 待ってくださってたファンの方おまたせしました。
それと同じくらいわたしも待ってたので、一生懸命やったつもりです。楽しみにしていてください。
- 監督:
- お待たせいたしましたの一言に尽きると思います。
そのぶんクォリティーも今までで一番よくなると確信しておりますので、是非レンタルじゃなく、買ってください。
これは言っておこうかな。
今朝、目覚ましテレビでエピソード3の予告を見たら、オープニングの入りが同じパターンで。決してパクりではないと。
- 川澄:
- こっちのほうが早い(笑)。
- 監督:
- そうそう(笑)。
- 今井:
- 今回もですね、だれひとりかわらずのスタートです。いままで以上のものを、味わっていただけたらなと思います。
- 山田:
- ふたたびアトスリュアとしてみなさんに声をお届けできてうれしいです。
しっかり見ていただいて、たくさん感想などいただけたらうれしいなと思います。
註:当日ソバーシュ役の斎賀みつきさんはスケジュールの都合で抜き録りのため、インタビュー時点では、話題のシーンはまだ収録されていませんでした。