あらすじ
OUTLINE
「星界の紋章」番外編。 遥か遠い未来、人類が宇宙に幾千の星間国家を形成し、幾多の種族が生きる時代。遺伝子操作によって宇宙空間に最も適する身体を得た“アーヴ”と呼ばれる種族は、宇宙の半分を支配する強大な帝国「アーヴによる人類帝国」を築いていた。
交易船ローマセル。ここに現「アーヴによる人類帝国」皇帝の息子にしてクリューヴの王、ドビュースとその恋人ブラキアが乗っていた。交易途中のささやかな寄り道、二人は辺境の領域で正体不明の難破船を発見する。交易船から乗りうつり船内に入ると、そこは初めて見るのになぜか懐かしい感覚を思い起こさせる空間だった。「この船の正体は何なのか?」二人が船内をさらに進もうとした直後、難破船は長い眠りから覚めたように、突然動きだす。その衝撃で、二人の乗ってきた交易船ローマセルは難破船から離れてしまう。ローマセルがなければ帰ることはできない。必死に操縦を操作しようとする二人だが、船は無情にも離れていく。「この船は一体どこへ向かおうとしているのか?」どうにか船の軌道修正をはかろうとして入った機関室で二人はたくさんのミイラを見つける。アーヴ独特の頭環を身につけたミイラ、それはアーヴ創世の悲惨な歴史を物語っていた。
はるか昔、人類から作業用生命体として生み出されたアーヴは宇宙探査という任務のため、大量に宇宙に放たれた。彼らの一部は新しい宇宙とエネルギーを発見することに成功したが、ほかの多くの命が宇宙に消えた。その昔、戻ることのできなかったアーヴの祖先たち、それがこの船の正体だった。
永遠に宇宙をさまよい続ける祖先たちの亡骸に複雑な思いをいだきながら、難破船をあとにするドビュースとブラキア。ローマセルにたどり着くまでの真空空間で、ドビュースはビラキアに愛の告白をする。「そなたの遺伝子がほしい」そして、帝都ラクファカールに戻った二人の間に、女の子が誕生する。その女の子は「壮大な命の源」という意味を込めて「ラフィール」と名づけられた。