第13話「501号室」
2007/06/30放送
アイスランドでの敗北以来、ネーブラは真による起動を受け付けなくなっていた。整備班によるネーブラの整備不良を訴え、自分のこれまでの実績を誇示する真。だが、双海亜美は、ネーブラとの不調和を押して無理に出撃した真の行動。春香とインベルの信頼関係の生み出した調和を、真に対して示す。その亜美の言葉に乱れる心を抑えきれず、真は亜美に手を上げてしまう。その結果、真はあずさから自宅待機を厳命されるのだった。
自宅待機を命じられた真は、iDOLに搭乗するようになった幼い日を回想していた。お姉ちゃんと慕うあずさに代わりネーブラに乗るようになった遠いあの日……。事故によりネーブラに乗れなくなったあずさは、iDOLに取り憑かれたような様子で、真の言葉にも上の空だった。
帰宅してきたあずさに対し、真は七年間、押し殺してきた激しい感情を涙と共にぶつける。なぜ、自分のことを認めてくれない! なぜ、自分のことを見てくれない!! 泣きじゃくる真を、あずさは抱きしめる。
翌朝、泣き疲れて眠っていた真は、あずさに頼まれて501号室を訪れてきた春香に叩き起こされる。家の中を探検し、真の同居人があずさであることを知った春香は、納得の表情で真に告げる。
「道理であずさ主任は、いつも真を気にしていたはずだ」
その言葉に、真は心の拠り所を取り戻すのだったが……。
モンデンキントJPアイドル課の上層部による協議の結果、ネーブラは今後、菊地 真の搭乗を許さないであろうと判断せざるをえなかった。
さらに事態は動く。ジョセフの補佐としてモンデンキントJPに赴任してきた朔響は、モンデンキント本部と通じる立場にあった。またモンデンキント本部と通じているのはあずさも同様であり、ネーブラの格納庫に呼び出された真は、そのあずさによってアイドルマスターの資格を剥奪される。
真がモンデンキントを辞めたと春香たちに伝えられた日。トゥリアビータに迎え入れられる真の姿があった。
第14話「なんかうごきづらい」
2007/07/07放送
菊地 真がモンデンキントJPを去り、ふたたびネーブラのアイドルマスターとして適性を試される水瀬伊織。伊織は7年前、偶然から出会ったネーブラとの遭遇を回想する。幻想的な霧の中に巨体を佇ませ、音もなく飛び去っていくiDOL。その姿に、幼い伊織はアイドルマスターになることを心に決めたのである。
その出会いの日に、ふたたびアイドルマスターとしての適性を試されるのは偶然ではないと張り切り、ネーブラで軌道上に駆け上がる伊織。任務はドロップ早期警戒衛星を衛星軌道に投入すること。
伊織とネーブラのコンビネーションは好調で、無事に任務は終了するかに思えた。しかし、今回の任務で特別にネーブラに取り付けられたマスターユニゾン装置が作動し、ネーブラに異常が発生する。
マスターユニゾンとは、アイドルマスター抜きでiDOLを起動させ、コントロールするための試作装置だった。その作動にアレルギーのように拒絶反応を起こしたネーブラは停止し、そのコアは異常加熱を始めてしまう。急遽、マスターユニゾン装置の強制排除が試みられるが、外部からのコマンドは一切受け付けられず。コアの加熱は進行する。その温度が1000度を超えた場合、ネーブラの記憶や個性が消滅してしまうと知ったとき、伊織の決心が固まる。
「ふたりの出会いの記念日を、命日にはさせはしない!」
宇宙服を着込み、船外活動を開始した伊織は、手動でマスターユニゾン装置を排除しようというのだ。
慣れない船外活動に四苦八苦しながらも律子の応援と指示で、排除用の爆発ボルトをセットする伊織。しかし、その作動レバーが動かない……。
「私のネーブラから離れろぉ!」
伊織の渾身の一撃が爆発ボルトの作動レバーを押し込みマスターユニゾン装置の排除に成功。ネーブラの危機は去った。
その夜、十六夜寮での記念パーティに姿を現した伊織の腕は骨折していた。作動レバーを押し込んだ際に骨折してしまったのである。しかし、その姿は、どこか誇らしげであった。
第15話「格納庫天国」
2007/07/14放送
春香はインベルの整備中に、その記憶ファイルのなかに自分の映像がコレクションされていることを知り、インベルとの「絆」を感じて嬉しくなる。
そんなある日、モンデンキントJP課長のジョセフ・真月が急病で倒れた。大事には到らなかったものの、重鎮を欠いたモンデンキントJP内の空気は弛みがちである。そんな隙を突くように暗躍する影があった……。
iDOL整備の最終チェックに使用する整備用「アイ」に細工が施されたらしく、その整備用「アイ」で起動したインベルは、無人のまま暴走状態に陥ってしまう。格納庫の中で睨み合うiDOLとアイドルマスター、モンデンキントのスタッフたち。膠着状態を打破するべく律子が提案したコスプレ作戦も功を奏さず、インベルは目の前の春香ですら踏み潰そうとする。その事実に呆然とする春香。
ついにインベルは地上を目指して移動を開始した。地上に出たインベルが都市部で重力レイヤーを展開した場合、その被害地域は計り知れないものとなる。課長補佐の朔響は、コアさえ無事ならばやむを得ないとインベルの自爆装置に手を掛けるが、秘密の通路で基地内に潜入したジョセフ・真月によってインベル自爆は阻止された。
ジョセフ・真月が立てた作戦は、基地を破壊してインベルの足を止め、X線と超音波により、コクピットの整備用「アイ」を破壊するというものだった。モンデンキントJPの総力を持って実行された作戦は成功。整備用「アイ」は砕け散り、インベルの暴走は止められた。その後のチェックでも、仕掛けられたウイルスなどは発見されず、事件は謎のまま終わろうとしていた。
しかし、春香はインベルの記憶ファイルの中に、かつての千早の映像を見つけてしまう。にこやかにインベルに語りかける千早の姿に、春香は、その心をかき乱される……。
第16話「アイドルとアイドル」
2007/07/21放送
トゥリアビータでは、ヒエムスのフレームが完成しようとしていた。ヒエムスのアイドルマスターとして自信に満ちた真に対して、千早は「iDOLは決してマスターの思い通りになるものではない」と釘を刺す。千早には、信頼していたインベルに背を向けられたという苦い記憶があったのだ。
一方、春香はインベルの記憶ファイルに千早の映像を見つけて以来、千早の事が気になって仕方がない……。アイスランドで出会った時の記憶、インベルの記憶ファイルの中の映像、かつてモンデンキントに所属していたという資料、そして、あずさから教えられた、かつてインベルが千早を拒否したという事実。
思い悩む春香は、親友のやよいに相談を持ちかけるが、アイドルマスターであることを隠さなくてはならないため、話が噛み合わない。やよいは吹っ切れない様子の春香を、美少女コンテストへと強引に引っ張り出す。
そのコンテストが、やよいの芸能事務所の目にとまり、春香は新人アイドルとしてデビューする。インベルも春香の出演するテレビやラジオを記録しており、春香はそれをインベルからの応援と受け止めて喜ぶ。しかし、アイドルとアイドルマスターの両立は難しく、春香とインベルの間の距離は次第に開きつつあった。ハーモナイズ担当の双海亜美は、そのことを敏感に感じ取るが、どうすることもできない。
アイドル活動のスケジュールが押し、春香にはインベルが誘うゲームにも応えてやれない日々が続く。せめてインベルに聞かせて上げたいと、春香は、自分の練習中の歌が入ったデータディスクを雪歩に託す。しかし、なぜか雪歩は、そのデータディスクを握りつぶしてしまうのだった……。
第17話「迷子の兎」
2007/07/28放送
クリスマスも間近い冬の東京。ひとり街角にたたずむ萩原雪歩の心は揺れていた。トゥリアビータからのスパイとしてモンデンキントJPに潜入していた雪歩の任務は、最終段階を迎えようとしていたのだ。
如月千早を慕う雪歩にとって、トゥリアビータへの帰還は願ってもいないことのはずだった。しかし、初めて得た友人である春香のことを想い、その信頼を裏切ることに、雪歩の心は迷いを覚えていたのだ。
それでも、千早の期待に応えるべく、司令室オペレーターや双海亜美の信頼を得ることに成功し、モンデンキントJPの中枢に深く食い込んでいく雪歩だった。
そして、モンデンキントJPの内偵を進める朔響は、雪歩の行動に疑いを持ちはじめていた。
自分の正体が露見するのも時間の問題であることを感じ、ついに雪歩は行動を開始する。iDOLの整備開発工場のある月見島に、重要人物である亜美が出向していることをリークし、襲撃の手引きをしたのだ。
一方、トゥリアビータ内でも体制が急変していた。主要メンバーである科学者グループが、カラスの強引なやり方に反対意見を出し始めたのだ。しかし、科学者グループは、カラスによって抹殺されてしまう。
もう、モンデンキントや十六夜寮には戻れないと、クリスマスの街を彷徨う雪歩の前に現れる春香。雪歩が落としたジラフ人形を届けにきたのだ。それは幼い日に千早から贈られた雪歩の宝物だった。初めて出会った日に「アイ」を拾ってもらったから、おあいこだと笑う春香に、雪歩の心は激しく揺れる……。
だが、かつて春香から教えられた言葉によって、雪歩は決心する。一番の願いを叶えるのに「大切なのは、ほんのちょっとの勇気と、強い気持ち」だと。雪歩は千早の元へ帰る決心を固めたのだった。
その、クリスマスイブの夜、月見島はトゥリアビータの襲撃を受ける。
第18話「夜」
2007/08/4放送
モンデンキントJP・月見島は、リファが率いる量産型エピメテウス群とトゥリアビータ兵士に襲われた。双海亜美を除く職員全員が惨殺された惨状に、目を覆う春香たちモンデンキントJPの面々。
トゥリアビータは、双海亜美を人質に取り、インベルとネーブラの引き渡しを要求してくる。
朔響は、双海亜美の存在は重要ではあるものの、不可欠ではないとのモンデンキント上層部の意思を受け、アイドルチームに待機を通達する。つまり、人質交換に応じるつもりはないと……。
春香や伊織たちは、朔やあずさらの決断に疑問を感じ、亜美を救出するために自分たちの独断で行動を始める。それに手を貸そうと現れる雪歩。春香や伊織たちは、雪歩がスパイである事実を、まだ知らないのだ。
雪歩の手引きで発進していくインベルとネーブラ。それを追うあずさのジェット機。人質交換に指定されたのは、ニューギニアのジャングル地帯だった。
一方が人質交換を装った囮となり、相手の隙を突いてもう一方が亜美を救出するという作戦を立てた春香と伊織は二手に分かれる。
千早と亜美のいる台地に着陸する春香とインベル。ともにインベルを「想う」千早と話をするために、あえて囮を買って出た春香だったが、インベルに同乗してきた雪歩が、その千早が送り込んだスパイであったことを知り愕然とする。
一方、伊織のネーブラの前には、真の乗るヒエムスが立ちはだかっていた。実力と性能で勝る真とヒエムスに、完全に叩き伏せられる伊織とネーブラ。亜美の救出作戦は失敗したのか!?
雪歩に奪い取られた春香の「アイ」は、千早の手の中で無惨に砕け散る。