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SPECIAL:NEW ENTRY

2019.12.24
「星界 Complete Blu-ray BOX」発売を記念して、原作者 森岡浩之、長岡康史監督、コミカライズ作者 米村孝一郎、3人揃って初となる鼎談を掲載!

いよいよ今週12月25日(水)に迫る「星界 Complete Blu-ray BOX」の発売を記念し、森岡浩之(原作者)、長岡康史(監督)、米村孝一郎(コミカライズ作者)の3人が初めて揃い踏み。作品初となる鼎談を行いました。

 

長岡 今回、いろいろイベントをやったけど、放送から20年も経った作品にこんなに沢山お客さんが来てくれるんだという驚きと感謝ばかりですね。ほんとにありがたいですね。

 

森岡 20年前、たしかwowowの放送に先行した上映会をやりましたよね。

 

長岡 九段会館でしたっけ?

 

森岡 九段会館でもやりましたし、大阪でもやったかな。

 

長岡 あぁ、そういえば新幹線に乗ったような気もする。あのときのお客さんがそのままついて来てくれてるとしたらほんとに凄い。原作がいまも続いているのも凄いけど(笑)。

 

森岡 『星界の紋章』を書いたときには、続きを書かせてもらえるなんて思ってもいなかった。

 

米村 発売後、すぐに増刷がかかったんですよね?

 

森岡 『紋章』のⅠが出て、一週間くらいだったかな、午前中に「増刷をするかもしれない」という電話を受けててその日の午後に「増刷が決まりました」と。Ⅱは発売と同時に重版が決定、Ⅲは発売一週間前に重版が決まるという思いもよらない展開だった。

 

長岡 それだけ勢いよく売れたら、アニメ化しようって人が出てきますよね(笑)。

 

森岡 バンダイビジュアル(現:バンダイナムコアーツ)さん以外にも制作スタジオからの企画書というのも見せてもらって、ラフィールのキャラクターデザインがついていたのもあった。

 

長岡 サンライズで制作するってのは?

 

森岡 最初はバンダイビジュアルからの企画書で、バンダイビジュアルにお願いすると決まってから制作会社はサンライズで、という流れだったかな。

 

米村 バンダイビジュアルに行くくだりは今回のBlu-ray BOXのブックレットに赤井さんが描いてますよね。

 

長岡 SF大会の上映会はどうだったんですか?

 

森岡 思ったより沢山お客さんが入ってました。

 

米村 コミックスの宣伝もさせてもらって。そこでも少し話したんですが、監督は映画指向なのかなと。『紋章』1話の絵コンテを参考に見せてもらったんですけど、コンテを見てると、背景をたっぷり使って、長回しのカットを並べてて、これはTVのオープニングじゃないよなと(笑)

 

長岡 そうですね。正直、アニメのシリーズというより映画を作るようなつもりでいました。そもそもオープニングにキャラクターがぜんぜん出てこないTVアニメなんてないでしょ(笑)あれはわざとで、別に予算がないとかそんな理由じゃないんです。『紋章』は特に、世界観というか、アニメっぽ過ぎる見せ方をしたくないなというのはありましたね。シリーズを通して、やりたいこととできることのギャップに悩み苦しみながら作ってました。

 

米村 マンガもそうですが、そもそもデザインする物量が凄いですよ。

 

森岡 ああ。小説では文字で書くだけですけど、お二方には大変な苦労をおかけして。

 

米村 ぼくはコミカライズをやるにあたって、アニメのいろんなデザインを参考にさせてもらったので助かってますが、それでもこれはどうしよう?って悩むことが多いです。

 

長岡 ああいう世界観なので、画面にあるものすべてデザインが必要なので(笑)。資料写真を渡して、こんなのでお願いってわけにいかない。ワンシーンしかでてこないキャラとかメカもおざなりにできない。設定がないと描けないので。ざっくり描いて、あとで作監でディティールアップしてとかいろいろ試したんですけど。やっぱり最初っから設定を作らないと画面がもたない。

 

森岡 そこらへん表裏一体なんですよね。小説家としては、マンガもアニメもそうだけど絵があると「こういう世界なんだ!」というのがパァッとひと目でわかる。見てもらえるのが強いと思うんです。それを文章で書くってけっこう難しくてですね。くどくど書いてもなかなかわかってもらえないし、そんなことを書いていると話が進まない。その点マンガやアニメはうらやましいなと思ってたんですけど、そうですよね、絵は全部設定しないとひと目でわかるところまで描けないんですよね(笑)。小説なら、書かなくてもいいというか別にそのことを思いつきもしないような部分を設定してからじゃないと描けないんですね。

 

米村 ただ、世界観の広がりを示すのが細かな設定の説明やデザインだけじゃなくて、この世界はこうなんだ!って印象づける表現が小説にはあって、その場面を的確に描くって言うのを優先する意識はあります。

 

長岡 今だと撮影技術が発達したので、そんなにハードルも高くはないんですけど、20年前は全部手描きだったので、人でも戦艦でもモブシーンがものすごい壁として立ちはだかるんです。発注すると「描くのは描くけど、それどんな服を着てるの?」と質問がくる。すると宇宙港にいるありとあらゆる人たちの服装はどんなのだ?という設定を作っていかないといけない。服装以前にどんな人種がいるの?とか。そもそもワンフレームに、たとえば30人の通行人をいれたいけど、背景扱いのそのカットにどれだけ労力をかけるの?という判断が必要になるとか、まぁそういう世界なので。

 

米村 そうですよね。ぼくも今回、7巻は反帝国クラスビュール戦線、えーと、ミン、マルカ、ダスワニ、ビル、葬儀屋…5人?かな。この5人が画面のどこかに出てて、それは会話の続く場面でラフィールやジントのアップばかりだとまずいので描くんです。

 

長岡 わかります。フレームの外を意識しないと《狭い絵》になっちゃうんですよね。見えないところをどれだけ意識してその《絵》を決めたかで、お客さんが受け取る印象に大きく差がでるんだと思いますね。

 

米村 まずキャラクターの立ち位置を決めて。ラフィールが話しているときに、このキャラはなにをしているのか、こっちのキャラがフレームインしてくるような動きをしているとか考えてレイアウトしないともたないですよね。

 

長岡 それをアニメではワンシーンを複数の絵描きがよってたかって描くので、まあ間違う間違う(笑)。

 

米村 リテイクは多かったんですか?

 

長岡 監督なので、全体をまとめるのが仕事で、各話のキャラの出入りまで細かくは見てないんですが各話の演出さんがそのへん苦労してた筈(笑)。

 

米村 画面の中の動きで上手下手を決めたりすると思うんですが、キャラクターの力関係で上手下手を入れ替えたりしませんか?

 

長岡 やりますね。辻褄合わせより心象を優先しがちです。どれだけ各話の演出さんに伝わって、フィルムに活かされているのかは、それぞれの回でまちまちですけど。基本的にはそういうスタンスですね。あと星界は長回しのカットが多いので、レイアウトでどれだけ心象が表現できてるかは気にしてました。セリフが長いので必然的にワンカットが長くなる。原作で自分が良いと思ったセリフは極力カットしないで長いままアニメに使ったんで。まぁ1話あたりの総カット数はその分減ってるんですけど、尺が長い分ワンカットの密度をあげないともたないので、現場の大変さは変わらないかな。それに会話シーンで減ったカット数は、戦闘シーンであっという間に使っちゃうんで、シリーズ通したカット数は通常のアニメと変わらないという結果に(笑)。

 

米村 森岡さんは平面宇宙のビジュアルイメージってあったんですか?

 

森岡 ビジュアルイメージといわれると凄く困りますね。我々が知覚できるのは四次元時空までなので、平面宇宙そのものはこの宇宙の外側みたいなものって設定しましたけど、そこがどんなビジュアルなのかと言われると(笑)。平面宇宙という異質な世界の中に我々の四次元時空の粒が浮かんでいるということにした。

 

長岡 それを我々は画面に映しださないといけない(笑)。

 

森岡 アニメ化の話を聞いたときに「平面宇宙はどうするんだろう?」って思ったんですよ(笑)。時空泡というものを何故出したのかと言うと、宇宙戦艦同士の格闘戦みたいなのをやりたかったんです。通常の宇宙だと何十万キロも離れたところからピッピッピと攻撃し合うことになるけれど、そうじゃない宇宙戦を書きたかった。そのための平面宇宙なんですけど。

 

米村 帆船時代の、戦列艦同士の横づけで砲撃し合うようなイメージですか?もうちょっと距離は離れているのかな。

 

森岡 そうですね。時空泡の中が小さな宇宙、広さに限界がある宇宙の中で戦艦が戦う形にしたかったんです。

 

米村 時空泡の直系を何キロにしようか、迷ったんですよ。ゴースロスは原作より大き目に設定したんですけど、その艦がある程度動けて戦闘する広さの時空泡、回避行動ができて有利な位置の取り合いをする広さってこれくらいかなと考えて、これは森岡さんの方へ質問は出さず勝手にサイズを決めて描いてますが。

 

森岡 時空泡の大きさは質量によって決まるんです。時空泡の質量は外からの観察でわかるんですけど、その中がどんな内訳、突撃艦がたくさんいるのか、輸送艦とその護衛なのか、はたまた戦列艦なのかはわからない。

 

長岡 その駆け引きはドラマとしてやれるんですが、じゃあ時空泡の中はどんな風景なのかというのがアニメ的には問題で(笑)。凄い単純な言い方をすると、時空粒子は、マリンスノーが深海に降り注いでいるようなイメージで。クリアじゃなくて少しザラっとした感じにしてますが。時空泡自体はどうにも表現できないわけですよ。わかりやすく宇宙に壁があるわけじゃないんで。だからモニターで戦闘状況を表示しつつ、実際の絵をだすときは時空粒子が漂っている感じで、近接戦闘をすると。

 

森岡 敵を倒して、時空分離するんですが、実際はどうやって分離するのかちょっとごまかしてるんですね。相手が完全にやられちゃうと時空泡発生機関もなくなるので、すべてが時空粒子になってぱぁっと散っていく。分離?ってことになるのでそこはちょっとね。

 

米村 自分の時空泡の中に敵の時空粒子が質量として残るのかどうかってことですよね。敵の質量を抱え込んでしまう。

 

森岡 そうですね。時空泡発生機関がなくなると時空泡を保てなくて、時空粒子になってしまう。

 

米村 敵を抱え込んだままだと残骸の時空粒子分の質量が増大して動きにくくなってしまうんで、相手が身動きとれなくなった時点で時空分離、ですよね。

 

森岡 そうですね。抱え込んだ時空粒子を吐き出す手段はないか。

 

長岡 今はCGがかなり使えるようになったんで、がんばればなにか表現できるかもしれませんけど、そこまでやってお客さんになにかアピールできるかどうか、という判断が必要になってきますよね(笑)。

 

米村 質量を抱え込んでしまって、戦術がかわってくるとか面白そうですけどね(笑)。

 

長岡 まあなんにせよ、実際映像にしたわけですが、あれを手で描いてたかと思うとゾッとしますね。

 

米村 いや、凄いですよね。

 

長岡 TVシリーズでやれるギリギリは実現できてるんじゃないかと。実際の戦闘シーンは『紋章』で言うと、2話分くらいですかね。あれが全話で戦闘を繰り広げてとかいう構成だと、作れなかったですね。

 

米村 アニメも『戦旗』になると、艦隊戦もだいぶ手慣れた感じですよね。

 

長岡 そうですね。デジタルで戦艦の素材を作って、アナログで合成をしてる時代なので、いまより余計な手間がかかってますけど、手描きよりはいろいろできるようにはなってましたね。『戦旗Ⅲ』になると完全にCGなんですが。『戦旗Ⅱ』はハイビジョンだったんで、メカの手描きはツライ(笑)。ちゃちく見えちゃうんで。モニター関係もまだ手描きだったものですから。イベントでも話したんですけど、星界はタイトル毎に制作システムが変わっていく時期にもろぶつかって。ノウハウが蓄えられてないから、実験作みたいな面もあるんです。

 

米村 メカデザインの作業の流れってどういう感じだったんですか?

 

長岡 メインは森木(靖弘)さんですかね。後半は今石(進)さん。「アーヴ帝国と人類統合体で、博士が違います!」って発注した気がします。人類統合体のほうがゴツゴツしたイメージで、アーヴ側は優雅なデザインにしてくださいって。ただ電磁投射砲が突き出てるんでいろいろ大変で。もう無理だと思って『戦旗』から内蔵式にしたんです(笑)。だからゴースロスだけちょっと違和感があるんですね。

 

米村 『紋章』に出てくる艦は全部外付けですよね、電磁投射砲。

 

長岡 そうですね。カウ級から後は内蔵でその前は外付けかな。「もうこれでは動かせない!」って途中から。最初からわかれよ!ってことですが(笑)。トライアル&エラー。

 

米村 原作の描写と違うのは分かっていたんですけど、マンガでは最初から外付けは無理!って事で内蔵式でデザインさせてもらいました。

 

森岡 なにも考えずに書いて、ご迷惑をおかけしました(笑)。

 

米村 すみません。電磁投射砲を外付けにしちゃうと、パースがつきすぎるんです。巨大感をある程度だそうとすると大ゴマしか使えなくなって、マンガのコマ割に制限が出てくる。レールが一本入ってしまうと、嘘パースも使えなくなる。

 

森岡 アニメには口出ししないって方針だったんですが、ゴースロスの最初のデザインを見せてもらったら、電磁投射砲がだいぶ小さくて。そもそも電磁投射砲って砲自体が巨大で、その巨大な砲を運用するために艦もでかくなっているって設定なんで「すみませんけど、電磁投射砲はもう少しでかくしてください」って頼んだ覚えがあります。

 

米村 アニメも『戦旗』で内蔵式になりましたね。

 

森岡 内蔵か外付けかっていうのは小説では決めてないので大丈夫です(笑)。

 

長岡 ゴースロスの最初のデザインは赤井さんとこの若い衆から出してもらった奴で、メカ作監もやってくれた筱(雅律)君が最終的にリファインしたんです。

 

森岡 キャラクターもそんな感じじゃなかったですか?

 

長岡 そうですね。基本的に赤井さんの原案があって、渡部(圭祐)くんがアニメ用にデザインしたんですが。

 

森岡 赤井さんもモブからなにから全部は無理なんで、自分のところのスタッフに脇役系は振ってて。例によってデザインには一切口を出さないと決めてたんですが、クファデスだけは最初のデザイン案が非常になさけない感じだったので「すみません、アーヴって全員美形という設定がありますんで、ちょっとこれだけはもう少しなんとかしていただけないかと」って口を出した覚えがあります(笑)。

 

長岡 クファデスはなさけない感じは役者が担ってくれたので(笑)。深見梨加さんのスポールとの対比で更に際立って。梨加さんもすごい良かったですね。まんまスポールだった(笑)。キャスティングは凄いハマった人がいっぱい居て。結構自慢なんです(笑)。『紋章』のときから大御所揃いでしたし。うれしかったなぁ(笑)。洋画の吹き替えみたいだって(笑)。『戦旗』からの大塚明夫さんもうれしかった。サムソンはオーディションなしで「大塚さんに頼めないかなぁ」って言ったら実現した(笑)。

 

米村 アニメはうらやましいなぁ(笑)。たとえば小説は1章まるまる会話が続いても、感情の起伏が緩やかでも違和感がないじゃないですか。マンガはもっとスパンが短いので、このコマはこの感情、ここにきてこう変わる。ってある程度起伏を出すために必要以上に表情をつけたりしてるんです。アニメは絵はクールな表情のままでも声優さんの演技で感情の起伏が表現できるじゃないですか。うらやましいって(笑)。

 

森岡 そう。アニメは音があるのがすごいうらやましい。声優さんの演技、BGM、ほんとにうらやましい。

 

長岡 キャラクターを映さないで違うものを映したりしましたからね(笑)。野っ原にいるカマキリとか(笑)。空の雲とか。そこに役者が感情表現をつけてくれるんで。

 

米村 マンガだとそうはいきませんからね(笑)。

 

森岡 もちろん小説でもカマキリの描写をしたって、感情は伝わらない(笑)。

 

長岡 『星界』はね、役者の力がめちゃくちゃ大きいんですよね。それももともとのセリフが面白いからですけど。つまんなかったらそもそもカットしますけど、ぜんぜん切れないくらい面白いんですよね、森岡さんの書くセリフって。

 

森岡 ありがとうございます。

 

米村 マンガでも、どこを切ってどことつないでマンガ用の長さに合わせようかと検討したんですけど、やっぱり切れないんですよ。セリフの組み立てを分解しちゃうとキャラが崩れちゃうんで。読者もセリフの組み立てが変わっちゃうとダイジェストに感じるんじゃないかと思うんですよね。

 

長岡 そうなんですよ!ほんとにね、セリフがいじれないんですよ。

 

森岡 いやぁ、ありがとうございます。

 

米村 このセリフとこのセリフの情報を合わせてここで出せるなって考え付くんですけど、やっちゃうとダメなんですよ。アニメは大胆にカットしてるところもありますよね。

 

長岡 諦めて、やらないならシーン丸々カット。中途半端にやらない。切るならバッサリ。

 

米村 それしかないですよね。自分でマンガ用にセリフを構成しなおし始めて、これは大変だなと。アニメも苦戦したんだろうなって(笑)。

 

長岡 でも原作を読んで、自分がこれやりたい!って思った一番大きなところはセリフの面白さ、キャラクターの面白さだったので…

 

森岡 ああ、うれしい(笑)。

 

長岡 なにをおいても、自分が面白いと思ったところを人にも見てもらいたいって考えましたね。多少「わかりづらい」とか言われても必要な情報を端折ってでも面白いセリフは入れたい!という優先順位でやりましたね。地上波の深夜枠だったらもう少し考えたでしょうけど、冷やかしでくるお客さんがいない環境だと思ったので、やれたんですけど(笑)。いきなりアーヴ語のナレーションで始めるとか、地上波だったらやってなかった。それにしても壤晴彦さんのアーヴ語のナレーションは、すごい説得力だった。架空の言語で日本語のテロップがついて重々しいBGMで、もう雰囲気たっぷりだったでしょ(笑)?没入感というかスタートダッシュはあれでバッチリだと思いました(笑)。

 

米村 アニメも多くの人に受け入れられたからマンガでも普通にアーヴ語のルビを振っていけるんですよね。

 

長岡 監督が言っちゃうのもなんですが、これは役者の芝居を楽しむ作品ですよ(笑)。豪華としか言いようのないキャストですし。A-on STORE特典のドラマCDを録ったじゃないですかこないだ。あれに土井美加さんが来てくれるとかちょっと考えられない感じですよね。皇帝陛下の高貴な感じが凄くいい(笑)。

 

森岡 A-on STOREの購入特典って、何人くらいが聴いてくれるんでしょうね(笑)。わたし、他にも書き下ろしの特典やりましたし。まさか特典をコンプリートする人はいないでしょうけど(笑)。

 

長岡 Blu-ray BOXが沢山売れたら、ほんとに続編の話がリアリティをもってくるんでしょうか(笑)?

 

森岡 いやぁ、原作者としては沢山の人に見てもらいたい。そしてアニメが続くならこんなにうれしいことはないとしか言いようがありませんが(笑)。

 

長岡 せっかくコミカライズが続いてて、米村さんのかっこいメカがあるんだから米村メカで新作をやらせてくれないかな(笑)。

 

米村 うれしいですね(笑)。

 

長岡 リブートで『紋章』から作り直させてくれないかな。特に『紋章』は原作3冊分を1クールにしちゃってるんで、もっと絵にしたいところが沢山ある。『戦旗Ⅲ』でも演習のシーンを全部端折っちゃったんで、あれも作り直せるならやりたいし。ダイジェストにはしたくなかったんで苦肉の策としてあの構成だし。それに今の技術なら挑戦したい絵がいっぱいある。

 

米村 見たいですね(笑)。ぼくはCGのことあまり詳しくないんですけど、たとえばモノが動くときにゆがみが出るじゃないですか。あれ、戦艦が回頭するときに船体をゆがませる演出とか計算とかやられているんでしょうか?手書きの重さに近づけるには必要な気がするんですが。

 

長岡 ありかもしれないですね。

 

米村 目には見えないでしょうけど、300メートルの艦が動き始めたら力は順番に伝わっていって、前後でずれが生じるだろうから、そういうのが感じられると艦の重さも伝わってくるかなと。

 

長岡 ロボなんかだとウソの絵って入れるんですけど、それをCGでやったら効果があるかも。

 

米村 カメラレンズのシミュレートではないウソの絵は欲しくなりますね。

 

長岡 そうですね。それはこれから考えていかないといけない部分ですね。いまのCGはウソの絵がないんで、なんとなく違うなって思っちゃうんですよね。宇宙戦艦がたくさん出てくるCGアニメが増えてノウハウが蓄積するか、だれかCGの天才が現れてすごい表現をしてくるとみんながマネして、重厚感が増してくるんでしょうけど。

 

米村 今回のBlu-ray BOXの宣伝企画の一環で、アニメ版のメカやアニメ準拠のキャラクターを描いていて、こういうのも面白いなと思ってるんですけど。

 

長岡 米村版襲撃艦で新作を一本とか、バンダイビジュアルさんやらせてくれないっすかね?

 

米村 開発バナシとかいいと思うんですけど、やっぱりキャラクター欲しいですよね。ジントやラフィールが出てこないってわけにはいかないんじゃないですか?

 

森岡 わたしはなんでもウエルカムですが。

 

米村 遭難した艦が残存パーツをやりくりして、どうにか脱出していくとかどうですか?

 

森岡 砂漠に落ちた双発機がって奴ですね。さすがに砂漠は無理でしょうけど、どこかの惑星で、どうやって宇宙に戻るかとかやれそうですね。

 

長岡 星界は世界観もキャラクターもしっかりしてるし、なにしろ森岡さんのセリフがあれば成立するんで、なんでもやれると思いますよ。

 

米村 キャラを捨ててオリジナルをやるのはさすがにもったいないので、原作の時系列に矛盾しない時間軸に新たな出来事を入れ込む感じでしょうか。ここまできたキャラクターは得難い資産ですから。

 

森岡 基本的にアーヴって交易種族なんで、一本しか書いてないけどソバーシュさんの交易日記みたいな話はまだまだ書けるって考えたことある。

 

米村 交易は惑星国家間のものですか?それともアーヴ同士?

 

森岡 交易っていうのは貴族の特権なわけです。地上世界に領民政府があって、そこの産物を他の世界とやりとりする。領民政府にはその権利がないので領主に任せる。

 

米村 アーヴ間の交易を描くか、アーヴと地上世界との交易を書くかでずいぶん物語が変わるような気がするんですけど。

 

森岡 そうですね。ソバーシュは少し変わった人なので、アーヴがあんまりやらない地上世界との直接取引をしたりする。以前書いたソバーシュネタの『断章』は音楽家を探すってやつなんだけど、音楽家の収入というのは個人レベルとしては大したものなんだけど、さすがに惑星規模では大したことがない。そんな連作で続編とか。

 

長岡 森岡さん、新作にガッツリ噛んでもらって、原案だけじゃなくてダイアローグライターとかどうですか?セリフは全部森岡さんに書いてもらう感じで。

 

森岡 できますかね?

 

長岡 森岡さんのその才能は、アニメにも活かしてもらいたい。どう逆立ちしても、自分からは絶対出てこないセリフが星界にはいっぱいあるので、新作をやるなら是非森岡さんにダイアローグ担当で参加してもらいたい。ジントは出てこないけど、ラフィールの翔士修技館時代の3年間でなにかやれませんかね。

 

森岡 うーん、そうですね。今回のボックス特典の『断章』はジントの修技館時代にラフィールがやってくるというエピソードだったから、同じ方法でなにか…

 

米村 ラフィールって、『紋章』で連絡艇を失って、『戦旗』で最初のバースロイルを失ってて、フネをつぶしてるじゃないですか。けっこう因果だなと。その心象をつなげて展開していっても面白いかも。

 

森岡 翔士修技館では、平面宇宙理論というのを学ばないといけないので高等数学からはじまってく。基本的に通常空間で宇宙船を飛ばすというのはアーヴにとって生まれたときからできるようなことなので、平面宇宙を航海するための勉強をするのが翔士修技館。時空泡発生機関のしくみだとか。

 

長岡 米村さんに新メカをデザインしてもらって、ラフィールの修技館時代のエピソードをって方向かな。

 

米村 トラブルがあった方がキャラクターを動かしやすいですよね。使えない艦をもらってとか。

 

長岡 企画のブレストになってきた。これ求められてる座談会と違いますよね?(笑)

 

森岡 たくさんの人がアニメを見てくれて、あたらしいアニメが作られるといいなぁという話ですから、いいんじゃないですか(笑)

 

米村 マンガもBlu-ray BOXと同時期に7巻が発売になるので、そちらもよろしくお願いします(笑)。

2019.12.13
『星界の戦旗Ⅲ』ドラマCDボックス(2006年)収録
ジント×ラフィール×ソバーシュ鼎談を再掲載!

鼎談 ジント&ラフィール&ソバーシュ

    ドラマCDボックスも最後になりましたので、アニメ『星界の紋章』から

    全作品に出演されてる三人に、語っていただきました。

 

とにかくセリフが難しい

斎賀

 私は、『紋章』のアニメからの参加で、最初は乗組員だった。

 いろんな船の乗組員。

 ふたりとは星界で初対面だったっけ?

川澄

 うーん…。

斎賀

 たぶんそうだよね。

川澄

 だと思う。

斎賀

 すごいね、初対面の作品で、こんなに長い付き合いになって。

今井

 それ以降、いろんなところで会うようになったね。

斎賀

 そうだね。

今井

 それまでは全然、会わなかったのにね。

川澄

 私は、ほとんどデビューみたいな時期だったから。

今井

 そうだったね。

川澄

 仕事を始めて、まだ一年経ってなかった。

斎賀

 すごいフレッシュだったんだよね。でも、全然そんな風な感じがしなかった。

 もちろん、ドラマCDをやってからだったせいもあるんだろうけど。

川澄

 いやいや(笑)。

 もう、こんなにも口が回らないものかと思って、苦しみました。

今井

 回らないよぉ。星界は特にね。

斎賀

 うん。

 難しいセリフが多かったから。

 私の場合も、ソバーシュさんが、戦況とかバァーって説明するのに、鍛えられた!! 

 って思った。

川澄

 私はラフィールみたいな役をやったこともなかったし、たぶん三行以上の

 セリフって言ったこともなかったから、もう大変でした。

一同

 (笑)

川澄

 それがいきなり、一ページ半とかの量の長いセリフ。

今井

 そっかぁ。

川澄

 一番憶えてるのが『紋章』で、ジントに皇女殿下と呼ばれて怒って「私は皇

 女ではない。王女だ。皇帝は祖母であって、父は王に過ぎないからな。あえ

 て皇帝陛下との関係を重視するなら、皇孫女であろうが公式には使わない」

 とか一気に言うの。台本一ページ半分。

一同

 (笑)

斎賀

 長く怒ってるなぁ。

川澄

 それが大変で。

 私は全然慣れてないから、由香さんに本番前からつきあってもらって、練習

 させてもらって。

斎賀

 そうだったね。

 毎回、アフレコが始まる前から、来ていたもんね。

川澄

 今みたいに、前もってリハーサルビデオがなかったから。

斎賀

 すごいなぁって、私は思ったよ。

川澄

 私はね、あれくらいしないと、やれなかったんですよ。難しくて。

 三行以上のセリフを言ったことがなかったんだから(笑)。

 

ラブラブ度アップしてますよね

斎賀

 アニメで初めてジントの声を聴いたとき、あぁ、繊細な感じって思った。

今井

 私、ああいう役って、ジントが初めてだったんだよ。

斎賀

 そうなんだ。

今井

 うん。それまでは、女性だったらサバサバした感じ、男性だと、はっちゃけ

 た感じの役。このタイプはほんとに初めてで。

 でもジントとはひとつだけ共通点があって、母親がいないってところがね。

斎賀

 シンクロするところがあった?

今井

 うん。

 自分に共通点があるセリフって、自然と言えたりするじゃない?

斎賀

 リアルにね。

今井

 うん。それが、運がいいのか悪いのか(笑)。

 ジントをやってると、色々と思い出しちゃう。だから、なおさら報われて欲

 しいなぁと思っちゃう。

斎賀

 でも、最近だいぶ報われてるよね。ラフィールと…

今井

 (笑)

斎賀

 ラブラブ度があがってる。

川澄

 (笑)

斎賀

 すごいラブラブだよね。最近特に。

 台本見たとき、うわぁ、どうしたのこの二人?って(笑)。

川澄

 でも、『紋章』のときの少年少女の青い感じも好きだったなぁ。

斎賀

 ああ、うんうん。なんだかまだ、お互い全然幼くて…

川澄

 一番ショックだったのが『戦旗Ⅲ』のアニメで、ジントがラフィールの腰を

 抱いていたこと。

 こうやって(実演)。

 うわぁ、やらしぃって思った。

一同

 (爆笑)

今井

 っていうか、いつも迫ってくるのはラフィールなんだけど(笑)。喧嘩腰で、

 迫ってくるんだけど。

川澄

 たぶん長岡監督の演出だと思うんだけど、ラフィールって怒ったとき、相手

 に顔を近付けるのね。  

 ジントに対してだけか(笑)。

斎賀

 で、ジントがタジタジって感じで(笑)。心持ち引く。

川澄

 赤い顔をして、ちょっと顔の距離が近いよって(笑)。

 

なかなかスケジュールが合わなくなりました

斎賀

 ソバーシュさんも『Ⅲ』では艦長になったり、それにラフィールが嫉妬して

 たりして、ちょっとかわいいなと思った。「この席はゆずりませんよ」「わか

 ってる」みたいな。

 かわいいなぁラフィールって(笑)。

川澄

 あれは、操縦したくてしょうがないんですよね。

斎賀

 やりたいんだよね。

今井

 『戦旗Ⅲ』はとうとう一緒にできなかったね。

斎賀

 そうだねぇ。

今井

 そんなことを話せとは、言われてないんだけど(笑)。

斎賀

 うん(笑)。

今井

 一度も全員集合できなかった。

川澄

 スケジュール合わせられなくなっちゃって。

 レギュラーなら、まだなんとかなる可能性もあったかもしれないけど。

 でもレギュラーも、抜き録りがいない現場って少なくない?

斎賀

 そうだね。みんな揃ってることって、まずないね。

今井

 ほんとだ。

斎賀

 今回の『Ⅲ』『Ⅳ』に関しては、結構ジントと会話してたから、一緒に録りた

 かったな。

川澄

 結構、長く会話してたもんね。

斎賀

 そうそう。

今井

 みんなで一緒に録れなくて、今回は残念だったね。

 なんだかんだ言って、いままではみんな一緒だったからねぇ。

斎賀

 みんなが終わったあとに、ポツンと一人で収録して。

 一応、掛け合いのところは声を流してもらって、聴いて演るんだけども、や

 っぱ、みんな無難にくるから。

川澄

 抜き録りだと、わかんないからね。相手がどうくるかとか。

斎賀

 一緒に演ってると、一緒に盛り上がっていけたりするんだけど。

 みんなごめんなさいって感じで。

 

ソバーシュさんはとても大人

川澄

 ソバーシュのキャラクターどう思いますか?

斎賀

 お、話が戻った(笑)。

川澄

 私たち、ソバーシュさんは、みつきさんだって、聞いてたよね。

今井

 うん。

川澄

 女性にして、みつきさんになるって。

斎賀

 そうなの?

川澄

 うん。原作は男性キャラだけど、みつきさんをモデルに外見をデザインする 

 って。

斎賀

 後々、それを聞いて、すごいびっくりした。

 よけいに思い入れも強くなったかな。

川澄

 言われて見れば、ほんとそっくりだもんね。

斎賀

 そうかな?(笑)。

 でも人間的にも、ほんとに彼女は大人なので。

川澄

 ソバーシュさんは、バースロイルのメンバーでは一番年上でしたっけ?

斎賀

 一番、歳いってるね。子供もいて(笑)。

川澄

 そう考えると、ラフィールなんて(笑)。

斎賀

 かわいいって思ってるよ(笑)。

 あたたかぁ〜い目で見守っちゃって。

 それはサムソンさんも一緒って感じかな。

 バースロイルに乗ってたときは、お父さんとお母さんみたいな感じだったん

 だね、きっと。

川澄

 長岡監督は、ふたりが酒を酌み交わすシーンを作りたくって、ソバーシュさ

 んを女性にしたって言ってた。

今井

 あぁあ、なるほどぉ。

斎賀

 あのシーンは、ほんとに明夫さんにひっぱってもらったから。

 ありがたかったなぁ。

川澄

 いつでもクールなソバーシュさんと、人をくったような飄々としたサムソン

 さんがすごく良い感じだった。

 『戦旗』のときの艦の中は、ほんとにいい雰囲気だったね。

斎賀

 そうだね。あれは面白かったね。一番印象に残ってるよ。

川澄

 でも、一番いいとこもってくんだよね、ソバーシさん。

斎賀

 ん?

川澄

 だいたい、最終回のさ、決めのセリフをもってかない?

斎賀

 ああ、『おかえりなさい』とか?

川澄

 そう。

 『戦旗Ⅱ』のときも、「お別れだバースロイル」とかかっこよく敬礼して。

 いいとこ持ってくんですよね。「あなたは立派な突撃艦艦長です」とか。

斎賀

 言った言った言った(笑)。

川澄

 ねぇ。いいとこでしょ?

斎賀

 大人の余裕なのかなぁ(笑)。

川澄

 孫じゃないよね、もう曾孫くらいに思ってるんじゃないかなぁ(笑)。

斎賀

 そんなイメージなのかも(笑)。

 成長してるのを見て、うれしいんだよ。

川澄

 ジントには地上世界出身の先輩としてサムソンさんがついているし。

 すごく良い感じでしたよね。

斎賀

 うん。バランスがね。

 その中に爆弾娘のエクリュアがいるっていうのがまた、いいのかな。

 あのコはかわいいよね。

川澄

 かわいいよね。

斎賀

 見てて苦笑してるけど、楽しいんだと思う。ソバーシュさんは(笑)。

 カリークの暴走のときもね

川澄

 心の狭い上官だったら、怒ってるよね。

斎賀

 怒ってると思う。

川澄

 もう少し、地上人のことを考えろとかってね。

「みんな、ごめん」ですませてるし(笑)。

斎賀

 そうそうそう(笑)。

今井

 ソバーシュさんは、女性としてカッコイイね。

斎賀

 うん。原作が男性だってこともあって、合わせ持った形で。

川澄

 ねぇ。

斎賀

 最初、女性だと思って演じなくていいんでって言われたのね。

 好きにやってくださいって言われて、作っていったキャラクターなので、や

 ってて苦にならなかったかな。不思議な感じにできあがった。

川澄

 もう、みつきさん、まんまって感じ。

斎賀

 そう? でも、だいぶ頑張ったんだよ。

今井

 (笑)

斎賀

 カウントダウンも頑張ったし。

川澄

 印象に残ってるのが、アーヴの地獄について語ったところ。

斎賀

 語ったねぇ。

川澄

 あれも長かったね。

斎賀

 長かった(笑)。

 もう、途中でどこまで喋ったんだか、わかんなくなった。

川澄

 ごめん、説明してもらっちゃった。って、私、笑ってるだけ。

一同

 (笑)

斎賀

 とうとう来たか!って思ったね、あのセリフは。

 おっと、カウントダウンだけじゃない!みたいな(笑)。

 

 

それで続編ですが

今井

 たとえ何歳になっても、二十歳のジントをやれるように頑張っていくから、

 是非作り続けていただきたいと。すぐとはいわないので、じっくりと。

川澄

 ラフィールは成長しきったので、外見は老けなくなるだろうけど。

斎賀

 老けるのはジントだけか(笑)。私も、あのまんまだね。

 でもせっかくここまで来たので、中途半端にやめちゃわないで、この先をま

 っとうさせて欲しい。

今井

 そうだね。

斎賀

 なかなか、こんな作品ないよね。

 みんな、年齢も、いい感じになりますけど。

川澄

 やれるなら、全力でやりますよ、もちろん。

斎賀

 心にずっと残るようなものを作って欲しいなって思う。

今井

 この先もずっと続けていけたらいいなぁ。

2019.12.04
『星界の戦旗』ドラマCDボックス(2005年)収録
ジント×ラフィール×アトスリュア鼎談を再掲載!

鼎談 ジント&ラフィール&アトスリュア

 三つ子岩での会食シーンになぞらえて、今井由香さん、川澄綾子さん、山田美穂(現:山田みほ)さんに、語りあっていただきました。

 

まずは乾杯

山田

 では、コーセ・テユーク。

川澄

 リンメイじゃないけど(笑)。

山田

 あれ、飲みたいね。色々、出てくるじゃない、お酒。

川澄

 テイル・ノムは飲んだことありますよ。

 おいしいよね。

今井

 うん。

山田

 呼んでよ(笑)。

川澄

 私、一時期テイル・ノムに相当凝っちゃって。

今井

 私も。

川澄

 森岡先生がよく行くっていうお店で、テイル・ノムを出してくれて。

 そこで作り方を教えてもらったの。

 テイル・ノムって、桃果汁にレモンを浮かべてって奴じゃないですか。

 それをカクテルにするために、桃のネクターを温めて、レモンの果実酒を入れて。

 すっごいおいしい。

今井

 檸檬酒(にんもんちゅう)かな。

 

川澄

 そうそう。

今井

 家で作るときは、温かいときも冷たいときも、ネクターに檸檬酒をまぜて。

川澄

 おいしいよ。

山田

 甘くておいしそう。

 

最初はキャラクターを作ってました

山田

 アトスリュアは、最初はおねえさんな感じを作ろう!って意気込んでた。

今井

 え、ほんと?

山田

 うん。でもいつのまにか、自然体になりました(笑)。

 で、アトスリュアには一言いいたいね。話が長いよと(笑)。

川澄

 話好き、理屈っぽい。それが、お兄ちゃんにちょっと似てるのかなと思った。

山田

 ああ、そのへんはね(笑)。

川澄

 ちょっと回りくどいでしょ。

山田

 くどいくどい(笑)。

川澄

 アトスリュアは、砂袋の話とか、いい意味でちょっとまわりくどい。

 お兄さんは、悪い意味でまわりくどい(笑)。

山田

 Ⅲで、飲む前の挨拶は短めにって言いながら、まるまる一ページちょいくらいセリフ

 があって、ちょっと笑った。

 まぁ、話は巧みなんですけど。

 初めてアトスリュアを演ったときは、どこか緊張があったんだけど、今回久しぶりに

 アトスリュアを演って、すんなりとすぐ入っていけたんで、もう自分の中にちゃんと

 アトスリュアという人がいるんだなというのが驚きだったな。

 アトスリュアについて色々感想とか聞かれるとね、けっこう困るんだよね。自分は

 自然体でやるようになってるので、あんまり違和感を感じないから。

 アトスリュアの目で見て、ソバーシュさんや、二人のことを面白おかしく変化を

 楽しんでいるっていうかね。キャラクターに対してすごく自然体になれてる自分が

 いる。それはなかなか、他の作品ではなかったりするので、ちょっと面白いなと、

 思いましたね。

 

撃て!

今井

 美穂ちゃんの『撃て!』は、かっこいいよね。

川澄

 私、アトスリュアの『撃て!』を真似しました。

山田

 まぁ、光栄ですわ(笑)。

川澄

 由香さんに、「あの『撃て』かっこいいから真似する」って。

今井

 そうそう。隣でねコソコソ(笑)。

 でも、ほんとにあの『撃て!』は新鮮だった。

山田

 へぇ。

 そんなこと、はじめて言われたな(笑)。自分のことだとよくわからないね。

川澄

 あんな上官いいなと思える人ですよアトスリュアは。

山田

 そうだな。私から見ても、こんな上司だったらいいなぁって思う。

川澄

 土壇場でも、余裕を忘れずに。部下を信頼してて。

山田

 そうねぇ。

川澄

 ウィットがあって。凄く能力もある人だし。

山田

 うん。

 でも意外と「はやく隠居したい」みたいなことを言うじゃない。そのアンバランスが

 面白い。

今井

 ネチネチしたところもあるんだけど、すっきりしさっぱりしたところもあって。

山田

 野心があまりないからかな。

川澄

 だから、ラフィールともうまくやっていけてるんじゃないかなぁ。

 ラフィールはいい意味で我が道を行く人だけど、アトスリュアが上官でよかった。

 スポールがもしも上官だったらなんて考えたくもないでしょ(笑)。

 まぁ、砂袋でうっぷんを晴らしてくれたおかげで、ラフィールにあんだけ優しかった

 のかも(笑)。

山田

 逸らし方がうまいんだよね。いろいろと。

 部下のコントロールの上手さが、上官としていいなぁと。

川澄

 ラフィールが下にいて、性格はおいといて、あの立場が下にいたら、そりゃ嫌だと

 思いますよ。

山田

 うん。むずかしいねぇ。

川澄

 ラフィールも大人の余裕を見せる日がくるのかな。

山田

 Ⅲで、二人のやりとりが、いつの間にか大人のそれになってるので、すごいびっくり

 した。

川澄

 ジントがラフィールの腰を抱き寄せたのに驚きましたよ。

今井

 あの絵をみたときにね。

川澄

 踵が、こうあがってて、口とかみえなくて。

 もうジントってば(笑)。

山田

 おまえ、いつの間にって感じだよね。

 

ジントはアメリカ人?

川澄

 ジントって、自分の命が危ないってときでも、ギャグっていうか、なんだろう…

今井

 死ぬかもしれないっていうときに言うセリフじゃないだろうなっていう感じのこと

 言うよね。

川澄

 そうそう。そこがアメリカ人っぽくて好き。

山田

 アメリカ人っぽい?(笑)

川澄

 私の中の勝手なイメージなんだけど、アメリカ人って、狭い崖とかに挟まれて

 助けないと死んじゃうってときに「おーいボブ大丈夫かぁ?」とか言われたら、

 「これ以上スリムになったらワイフに怒られちまうよ」とか言うじゃない。

山田

 ボブ(笑)。

 私のアメリカ映画のイメージだと、「ノー!」って絶叫するほうだね。

川澄

 違うかな(笑)。でも、ピンチなときに、あんまり焦らない感じ。

今井

 いつ死ぬかわからないって自覚してるからかな。

 

山田

 無常観があるよね。

今井

 ちょっと達観してるのかな。 

山田

 小さい頃にショッキングな出来事があったから、どこかで諦めないと自分を

 保てなかったんだろうな、とは思う。

今井

 戦旗Ⅲの最後の方だって、ほんとの気持ちとしては故郷に残りたいってのはあった

 だろうし、よく二十歳そこそこでああいう決断ができたなって思っちゃう。

 でも、自分もああいう状況下で生きてたら、そうするかもしれない。

川澄

 ふわぁんって育ってきたおぼっちゃまに見えますよね。

山田

 うん、見た目はね。

 

すばらしい現場

山田

 二人とも星界が初共演ではなかったんだよね。

 由香ちゃんは養成所で実は同期で。

今井

 うん。

山田

 川澄ちゃんとも他の番組でちょっと会ったことがあったし。

 でね、星界やるっていうので、どんな話なんだろうって思って紋章の1話を

 見てみたの。そしたら、昔から知ってる今井由香ちゃんが、すごいいい芝居を

 してたんで、まずいなと思って。

今井

 なぁに(笑)。

山田

 なんで、こう繊細な芝居をできるようになっちゃったんだろうって。

今井

 私、誉められると凄い嬉しいわ。

 最近誉められないから(笑)。

山田

 もう、びっくりしたもん。

 なんかね、昔からがんばり屋さんなのは知ってたけど、そんな繊細な、巧みな感じは

 なかったから。あ、養成所のときだよ。

今井

 そうだね(笑)。

山田

 由香ちゃん、のんびりして見えるけど、どこか熱血で、当たって砕けちゃったり

 して。なんか損なクジを引いちゃうみたいな。

川澄

 うわぁ、ジントっぽい(笑)。

今井

 私は久しぶりに美穂ちゃんと共演できるっていうのが、うれしかった。

 現場に同期がいるって、なんだか心強い(笑)。なかなかレギュラー一緒ってことが

 なかったしね。

山田

 星界が初めてだよね。

今井

 うん。

山田

 最初で最後?

今井

 そうだねぇ(笑)、いまのところ。

山田

 この番組は現場の空気も作品自体もすごく印象深くて。

川澄

 みんなが、ほんとに合ってた。

山田

 そうだね。

川澄

 姿形の話もよくするんだけど、みんなが並んだ感じ、身長比もみんなそっくりなの。

今井

 ああ、たしかにそうだね。

川澄

 私と由香さんだと由香さんがちょっと高くて、香里ちゃんがちょっと低くて、

 みつきさんがちょっと高くて、で、明夫さんが大きくて。

山田

 あ、ほんとだ。

川澄

 みんなキャラクターにも似てて。

山田

 そうだね。

 性格的なところもちょっとあるかも。

川澄

 美穂さんも、外見からアトスリュアだし。

山田

 まぁ、エクリュアじゃないよね、私(笑)。

 星界は同世代と仲良くなれて楽しかったのもそうなんだけど、素敵な先輩がすごく

 多かったので。そういう意味でもいい現場だったね。

今井

 そうだね。

山田

 贅沢な現場にいたなぁって。

 でも、二人がマイク前に立ってなんかやってると面白いよね。

今井

 あ、そう(笑)。

 やりやすかったけどね。先輩だ!って見られすぎちゃって、なんか困っちゃうなっ

 ていう部分がなかったから。

川澄

 そんな、紋章の頃はありましたよ(笑)。

今井

 (笑)

川澄

 ラフィール役は、ものすごく大変だったけど、面白くてたまんなかったから。

 あんだけセリフが多くても、どうしよう恐いよぉとは思わなかったかな。

 今見ると、全然できてないんだけどね。

今井

 わたしも(笑)。

川澄

 ほんとに好きな役で、自分のプロフィールの一番最初に載せたいくらいなんだけど

 (笑)。

今井

 何年経っても、想い出を話せる、そういう現場とか役だね。

山田

 ちょっと間が開いて再会するとさ、みんなの成長の度合いがわかるじゃない。

今井

 うん。

山田

 特にさ、清水香里ちゃんなんかさ。

今井

 そうだねぇ。

山田

 はじめ会ったときとか考えると、ほんとに人間って成長するなぁって。

 だから、自分もがんばらなくっちゃなって。

今井

 私も言われたもん。私が22とか3のころを知ってる音響監督さんに、「バッチリ

 化粧するようになったのか」って。

山田

 そういうとこか(笑)。

川澄

 私も、明夫さんに言われる。今、別の番組で一緒なんだけど、「綾子は昔と比べて

 化粧のしかたが大人っぽくなったな」って。

山田

 芝居じゃないのか、化粧かって(笑)。

 でも、みんな切磋琢磨してるよね。

 いい言葉だね、切磋琢磨。

 みんなにこやかにワイワイやってるけど、ひとの芝居よくみてるし、冷静にそれを

 評価してるじゃない。結構褒めあうことが多かったよね。

今井

 ああ、そうだねぇ。

山田

 「あなたのあのセリフ、今日よかったよね」って。

今井

 うん。

山田

 っていうことは、逆に悪かったとこもちゃんと見てるってことじゃない。

 そういう意味で、いい刺激があった。

川澄

 セリフでね、「これ言いたい!」っていうのがあって、ほんとにリズムも気持ち

 いい、セリフとしてとてもハマってるし、「このセリフ言いたい!」って毎週絶対に

 あった。

 ラフィールとしてこのセリフ言えるの! なんて幸せなんだろうって。

 みんなに『決め!』みたいなのがあったでしょ。だから、このセリフを言える喜び

 みたいなのがあって、そのときはみんなが後ろにいて、仲間に、「演るよ!」

 みたいな気持ちだった。色々、背中で感じたりとか、明夫さんは、演るだけでみんな

 に教えてくれてた、みたいな感じはあるなぁ。

今井

 うんうん。そうそうそう。

 言いにくいセリフ、テストで間違えてたんだけど、本番でちゃんとできると、

 明夫さんが親指たてて拳突き出してくれたりとか。

山田

 いいね。チームワークのいい現場は楽しいね。

 

 

川澄

 私、オーディションのとき自分の名前も言えなかったんですよね。

山田

 名前むずかしいですよね。

川澄

 最初にジントに呼びかけるシーン、「リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵公子ジント

 殿下か」とかも言えてなくて。

今井

 原作読んで、驚いたよね。なんだこのルビの量は!って(笑)。

川澄

 でも、なんだかんだいって私、やりたかったですよアーヴ語。

 全部アーヴ語話して、日本語の字幕つきバージョンやりたいって。

今井

 言ってたね(笑)。

山田

 一回挑戦したかったな、アーヴ語。

川澄

 私、今でも言えるんですよ。戦旗Ⅱのアーヴ語セリフ。

山田

 すごいねぇ。

 

 

〆ましょう

今井

 私、いままでの中でラストが一番好きなのが、戦旗なの。最終回のエスカレーターで

 ラフィールとアトスリュアのシーンが特に。

川澄

 ああ、あれはかっこいい。「リンメイの壜を空に…」ってとこでしょ

今井

 そうそう。

山田

 ああ、いいね、あそこ。

今井

 毎回、最終回の最後の方にはナレーションがあるんだけど、あのときの

 ナレーションが、一番気持ちが入ってた、私。

 こういうアニメこそ、子供さんに見てもらいたいな。

 子供さんにも、かな。あんまりちっちゃいとわかんないかもしれないけど。

 こういう恋愛の形だったり、こういう人生だったりとか。

 こんな世の中だから、特にね。

2019.12.03
第58回日本SF大会『アニメ「星界の紋章」放送20周年記念上映会』
2019年7月27日 @大宮ソニックシティ

まずは自己紹介をお願いします。

 

森岡

森岡浩之でございます。

アニメの放送から20年と言われて、そうか20年も経ったのかと驚いています。

BD用にキレイになった映像をご覧いただけるようなので、長らく星界におつきあいいただいている方も、今日はじめて星界に接するという方も、楽しんでいただければと思います。

 

米村

漫画家の米村孝一郎と申します。

今、コミックメテオというwebマガジンで星界の紋章のコミカライズを担当させていただいてます。ずいぶん長い間かかっていますが、もう少しで完結します。

今日はアニメの上映ですが、僕は個人的に長岡監督とも親交がありまして、アニメはコミカライズの参考にさせてもらっています。

 

 

 

米村さんにお尋ねします。そもそも、どういう経緯でコミカライズのオファーがあったのでしょうか?

 

米村

そうですね。

コミックメテオは資本関係が何度か変わっているんですけど、星界を始める当時の社長が個人的にファンで、是非コミカライズをやりたいと言ったらしいです。

それで僕に話が回ってきたようです。編集部としてはキャラクターが描けてメカも描けて米村がいいんじゃないかということのようでした。

僕も、前の作品が完結して、次はどうしよう?と考えてた時期で、タイミングが良かったんですね。結果、前作と同じ編集部同じ担当でスタートすることになりました。

 

森岡さん、コミカライズの話が出たときはどうでしたか?

 

森岡

紋章のコミカライズは2回目で、最初のは小説のコミカライズというよりアニメのコミカライズという側面が強くて、1巻だけで完結しました。今回はじっくりとやってくださるということでした。

最初に話を聞いたときは…どうだったかな、えーと、当時webマガジンっていうのは、まだハシリですよね? いまはスマホをメインターゲットにした漫画アプリがたくさんあるけど。だから、「webだけというのはどうなんだろう?」とはちょっと思いましたけれども、ともかく絵にしてしていただけるなら是非ということで返事をしたと思います。しかも描いていただけるのが米村さんだというので、一も二もなくお願いしますと言ったんじゃないかな。

 

米村さん、ここであらためてプロフィールを教えていただけますか?

 

米村

創作同人マンガをコミケで描いて出していたんですけど、大学卒業間近になって、このままプロになれないかなと考えたんです。出版社に持ち込むのが筋なんでしょうけど、それはしなかった。

同人仲間やその周囲にいわゆるフリーランスの編集者さんがいっぱいいたという時期なんですね。

で、ぼくもそういう人たちと付き合いがありましたので、話をして…。

「どこかで仕事がないかね」という持ち込みをフリーランスの編集に対してしていた。

そういう人たちは出入りの編集プロダクションに話をするので、大手出版よりは編集プロダクションが身近だったのでそっちに。

その中の編プロに「ドラゴンマガジン」の編集をしているところがあって、とある連載の原稿が落ちて、代原がないかという話がきて、それがデビューです。

当時は、同人作家をコミケでスカウトする青田買いが始まったころで、90年前後ですか、コミケで同人作家をピックアップして商業誌デビューをさせようという第一陣だったですかね。

正確にはその半年前くらいからホビージャパンさんでイラストの仕事をしてたのですが、漫画家としては「ドラゴンマガジン」がデビューですね。

それからしばらく富士見書房さんとホビージャパンさんで漫画の仕事をしていました。

 

90年代の同人誌の世界というのはけっこう横のつながりが広くて、当時はアニメ会社やゲーム会社で仕事をする友達がいっぱいいたんですね。その縁で、ああいう企画があるとかこういう仕事があるとかという声がかかって。「あぁ!それやってみたい」っていろいろ手を出しました。4-5年続くものも、1回限りのものもありましたけど、それの最初期のものがゲームアーツさんの『シルフィード』で、これのメカデザインとか下請けで「企画デザイン工房戦船」さんというところがありまして、当時アニメーション作品の「爆裂ハンター」とか「機動戦艦ナデシコ」とかのデザインも担当してまして、そこのデザインのお手伝いをちょこちょこやりながら、マンガを描いてました。そのまま現在に至る感じです。だいぶ端折りました(笑)

 

 

 

森岡さん、先日、BDボックス用に、『紋章』第2話にコメンタリーをお願いしましたがいかがでしたか?

 

森岡

監督と、川澄さんと三人でしゃべりましたね。

『紋章』の1話には川澄さんが出てこないので『紋章』に限っては第2話にコメンタリーを入れるということになりまして。『戦旗』『戦旗Ⅱ』『戦旗Ⅲ』は同じメンバーで第1話にいれました。

その収録で久しぶりアニメを見ましたけど、わたしは違和感を感じなかったんですけど、川澄さんはだいぶ恥ずかしがってましたね。

 

 

アニメの1話、いきなりアーヴ語のナレーションから始まりますけど、翻訳は森岡さんが担当されてますよね。

 

森岡

ええ、やりました。アーヴ語は、まさか発音されるとは思って作ってなかったので、いろいろ大変でしたが。

 

アニメ化の際、監督からアーヴ語でやりたいって言われたときどう思われましたか?

 

森岡

そうですね「ああ、変わったことをするんだな」と。

まぁ、なかなかない試みだと思いますけど。

最初に話を聞いたときに、ああそうか、翻訳は、まぁわたしがするんだろうなと。

翻訳自体は、けっこう面白かったんですよ。いろいろな文章をアーヴ語で作るのが楽しくてですね。あとは、発音記号かなにかで書いて渡したら終わりだと思ってたら「それじゃわかんないので」って言われて、結局わたしがお手本の録音をすることになって。それがすごく嫌でした(笑)。

 

アーヴ語の翻訳は森岡さん以外にはできない仕事ですが、それでも原作者がアニメの現場にスタッフとして参加するというのは、大変だったのでは?

 

森岡

さっきも言いましたが翻訳自体は面白い試みだなで済んだんですが、その後は毎週アーヴ語のお手本の録音をすることになって、勘弁してほしいなとずっと思ってました。

だけど、もとはと言えば、わたしがアーヴ語を作り出して、小説でルビを振りまくったのが遠因なわけだし、結局因果は巡る?(笑)わりと諦めモードで録音してました。

 

 

アニメ化は、その嫌なことを除けばウエルカムな感じでしたか?

 

森岡

もちろん、喜んでました。

最近は、なろう系とか、わりとアニメになりますけど20年前は小説原作のアニメって、そんなになかったんですよね。だからすごくうれしかったです。

 

コミカライズに際してアーヴ語の苦労はありますか?

 

米村

アーヴ語はですね、セリフの中に入ってる分には原作からそのままもってくるので、ぼくの苦労はその部分ではありませんでした。歴代担当編集さんが、どこまでアーヴ語のルビを振るのか、都度都度に考えてやってくれてました。

問題は、フォントの方で、背景にアーヴ語の看板とか描くときにどうするのかいうのは、今も悩むんです。

たとえば、うしろに「なんとか商店」というのがあってその看板を描こうとすると、アーヴ語に訳さないと描けない。そうすると、森岡さんに翻訳してもらう以外に手がないんですが、その手間暇をかけて、そこに「なんとか商店」って描くメリットはあるのか?と考えてしまうわけです。あまり意味のない背景のために翻訳をお願いしていいものかどうかとか。

 

森岡

それくらいやりますから言ってください。

漫画でしたら翻訳するだけで、わたしがスタジオに入って録音する必要がまったくないから大丈夫です(笑)

ただ、アーヴ文字というのは小説の設定というよりむしろアニメの設定なので、忘れちゃうんですよ。音の翻訳はできるので、それをラテン文字に書くことはできるんですけど、そこから先、アーヴ文字にするのがちょっと自信がないかも(笑)

 

米村

今、幻想園のところを描いているんですけど、その看板をアーヴ語で描こうと思ったら、まず翻訳とスペルを森岡さんにお願いして、いただいたスペルで看板のデザインをしてという段取りになっちゃうので煩雑かなと。

 

森岡

グゾーニュ幻想園ってのはたしか、原作で「幻想園の馬」という章タイトルで使ってて、章タイトルはアーヴ語のルビを振ることにしてるんで幻想園というアーヴ語は作ってるはず(笑)

ただカタカナなんで、スペルをアーヴ文字でって言われると、たしかにひと手間かかります。

でももう原稿できちゃってますもんね。次の機会があれば遠慮なく言ってください。

 

米村

ありがとうございます。

まだ幻想園は終わってなくて、今、お土産のマグカップにカワウソのキャラクターを描いたりしてるんですが、カワウソっていうのはアーヴ語でなんていうんだろう?というところから始まって、いや、種族名じゃなくてキャラクター名があるのか?ということを考えだすと、もうどうにもならないんで(笑)。

象徴的なひとつふたつだけをアーヴ語で背景に描くくらいにしたいんですけど、毎度毎度それをお願いするもの気が引けるのと、やりだすといつまでかかっても原稿が終わらなくなるので(笑)。

 

ぼく、今回のコミカライズでは極力原作のセリフをカットしないという方針で進めているんで、背景のアーヴ語のマンガ的表現に関しては、次にコミカライズをやられる誰かに任せたいと(笑)

 

 

アニメにない家紋のデザインなど新たに起こしていただいてますよね。

 

米村

アニメは手描きの頃の設定なので、デザインとか簡略化して線を少な目にしてる気がするんです。いまマンガはデジタル作画でやってるので多少凝ったデザインでもなんとかなるのでいろいろ挑戦してみてはいます。

作画の合間にデザイン起こしをするのでそんなに多くはできないんですが、今回はスポールの家紋とフトゥーネの艦隊旗を作ってみました。作るのは楽しいんですが、ちょっと失念しちゃってたのは、赤井さんのデザインはアーヴの出自を受けて、和装を中心にアレンジされてるんですよね。スポールの家紋、ヨーロッパの紋章学を参考に作っちゃったんですけど、日本の家紋をベースに作った方がより作品世界に沿うのかなと。

こんど作り直そうかと思ってます。素材があればいろいろ展開できるかもという邪な考えも持ちつつ。

 

 

森岡さんはコメンタリーのときにご覧いただきましたが、米村さんは今、BD用のHDリマスター版をはじめてご覧になったと思いますが、いかがですか?

 

米村

大画面映えしますね。

参考にDVDを見ながらマンガを描いてるんですけど、長岡監督は大作指向ですよね。

劇場並みの絵を見せようというコンテになってますから、TVとかPCのモニターで見ているよりアップコンバートされた高画質を大画面で見ると、監督の意図がより伝わる感じですね。見ていて気持ちいいし、印象が変わりますね。アップコンバートがうまくいってるおかげでもあるでしょうけど、これだけ大きくしても見劣りがしないです。

 

 

アニメの続編も期待されるところですが、戦旗の今後の展開、お話いただける範囲で構想など聞かせていただけますか?

 

森岡

今、アーヴ帝国はふたつに分かれているわけですけれど、アーヴというのは宿命遺伝子というのをもっていて、それで内部分裂を防いでいるということにしているんです。それでアーヴという集団が今、よんどころない事情で分裂しちゃっているんで、この宿命遺伝子の働きがちょっとおかしくなっているんですよね。

それが、どうなるかなというのが今後の話ですね。

最初の構想ではアブリアル=天照、なのでお姉さんと弟が争う話になるといいなぁと(笑)アマテラスとスサノオの対立ですね。

最初の構想ではそうだったんですけど、でも書いてみたら弟の方が非常に弱々しくなってしまったので、これはどうしようかと(笑)

なのでそのようになるのかどうかは、ちょっと今、考えているんですけれど。決して姉弟の対立構造という可能性が消えたわけではないのですが、まだどうなるかわかりません。

 

 

紋章アニメ化の際に川澄さん今井さんが森岡さんから聞いてたラストの構想と、長岡監督が聞いてた構想って2パターンあるようなんですが。

 

森岡

そうですね。

不幸な終わり方と、凄く不幸な終わり方。いや、違うな、凄いバッドエンドと普通のバッドエンドをそれぞれにお話したのかな。

今は、どちらかというと普通のバッドエンドに向かって話は進んでいます。

 

 

戦旗は全10巻構想だそうですが、残り4巻はどんなペースを想定されてますか?

 

森岡

なるべく早く(笑)

 

 

米村さん、スケジュールが押すのは、いろいろこだわられているのだと、完成した原稿を拝見するとわかるんですが、実際に一番こだわられているところを教えていただけますか?

 

米村

こだわりはいろいろありますが、一番の原因は加齢ですね(笑)

なにより描くスピードが昔にくらべてはるかに遅くなってる。

それと、これは完全にぼくのミスなんですが、アニメの設定を使うのでトーンを貼ることにしたんですね。ぼくはもともとトーンをあまり使う作風じゃないんですけど、アニメ準拠の表現をトーンですることにしたら、ありとあらゆる細かいところにトーンを使うことになって、作業が増えてる。

あとは画面密度が、ふだん描いてるマンガの3倍くらい濃くなってるので絶対的な作業量が多い。

小説とマンガの時間の流れ方が違うので、それのコンバートが大変。いろいろありますが、もう少しなのでがんばります。

 

 

では、最後に営業トークをお願いできますか?(笑)

 

森岡

BDボックスには、50枚の短編を書きおろしていますので、よろしくお願いします(笑)

価格的に、是非買ってください!は言いにくいので、余裕がある方は、お願いしますということで。

 

米村

ぼくもBDボックスのブックレットにカラーイラストを1枚描いてます。アニメ版とコミック版のラフィールを描きわけてみましたので、是非見てください(笑)

2019.12.02
『星界の紋章』ドラマCDボックス(2005年)収録
ラフィール×ジント対談を再掲載!

対談 ジント&ラフィール

 ジント役の今井由香さんとラフィール役の川澄綾子さんに

 ラジオドラマ『星界の紋章』収録当時の想い出を語り合っていただきました。

 

今井

 あの当時、初共演の方が結構いらしたんですよ。

 川澄ちゃんとも初めてだったんで、すごい緊張して。

 第一印象は、かわいい人だなって感じかな。

 でも自分は、この人とやっていけるんだろうかという不安がありましたね。

 やっていくうちに、全然そんなこと考える必要なかったなと思いましたけど。

 

川澄

 私はですね、アニメをやって、一年経ってないくらいの時期で。

 正直、受かるわけがないと思いながら、受けましたね。

 オーディションを受けたのは、私が一番最後だったらしいんですけど。

 今井さんは、すごい前に決まってたんですよね、ジント。

 私、受かったっていう時点で、ジント役は今井さんですって聞いてたんですよ。

 

今井

 あぁ、そうだったんだ。

 私は全然、第一話を録るその日まで、知らなくて。

 でも、名前を教えていただいても、知らなかったと思うんですよね。

 

川澄

 うん。だと思います。

 ラフィールみたいに、こんなにしゃべる役をやったのが生まれた初めてですし。

 口数の少ない役しかやったことなかったし。気の強い役もやったことないし。 

 私は、お仕事する前に今井さんの出演しているアニメを見ていたんで、

 今井由香さんかぁ!!って。

 相手がどうとかいうよりも、もちろん今井さんにいっぱい迷惑かけるだろうと思って

 ました。どう考えても現場で、自分が一番出来ない子だって自覚がありましたし。

 

今井

 一番新人だったかもしれないね。

 

川澄

 うん。錚々たるメンバーで、なんで、この中に私が!みたいな。

 だけど、ラフィールは決してオドオドしてていい役じゃないから…。

 

今井

 うん。うん。

 

川澄

 むしろ、ジントがオドオドしてるのを引っ張っていかなきゃいけない。

 

今井

 そうなんだよね。

 立場的には逆の方が楽だったかもしれないね。

 

川澄

 うん。

 

今井

 だけど、性格的には(笑)。

 

川澄

 うん(笑)。

 わたし、こういう役をものすごくやりたくて、だからこれはもう、ものすごく楽しみ

 であり、一生懸命やろうって。

 楽しくてたまらなかったって印象はありましたね。

 私は逆に不安とかなくて、今井由香さんという方が相手でよかったなと。

 

今井

 私も前もって、どういう人なのか知ってればね、もうちょっとねぇ、なんとか。

 前にも共演してれば、そんなに不安じゃなかったと思うんですけど。

 

川澄

 私は、もう、今井さんだから安心だって。ただ、すごく迷惑かけて怒らせたら

 どうしようとは思いましたけど。

 全然優しい方で。

 でも、紋章はあまりにも二人のシーンが多かったですよね。

 特にこのラジオドラマは。

 

今井

 あぁ、うん。うん。

 

川澄

 一日分の放送で、二人しか出てないとか、よくあったんですよね。

 

今井

 そうそう。モノローグだとか、ナレーションだとかもあったし。だからこんなに

 予習していく作品は、そのときはじめてってくらい。

 ここまでしないとちょっとやっぱり本番できないだろうなって、そういう不安とか

 あって。慣れるまではね。

 

川澄

 セリフも難しかったし。

 アニメになってから、特にいろいろ出てきましたしね。

 

今井

 そうだったね。

 

川澄

 ラジオドラマで、ある程度、どういうものかわかってから、アニメに臨めたので、

 それはすっごい良かった。

 

今井

 そうだよね。

 

川澄

 それがなかったら、私なんか、もっといっぱいいっぱいになってた気がします。

 それまでに、ここまで、台本をめくってもめくっても自分のセリフっていう作品は

 やったことなかったので。多くて五行くらい。

 だから、ラジオドラマがあってよかったなって感じ。

 

今井

 たっぷりリハーサルしましたって感じで。

 アニメになってからも、早めにスタジオに入って、予習させてもらったりとか。

 

川澄

 今と違って、リハVというものがない時代だったから。

 

今井

 うん。

 早めに行ってね。

 

川澄

 みなさんより三十分とか、それよりちょっと前とかに行って、リハーサルさせて

 いただいて。むしろ由香さんにつきあってもらう感じで。

 

今井

 いやいや、私も、リハが必要だった。

 アニメもラジオのときと同じセリフを言ってるんですけどね。

 私、主役のオーディション受けて、勝ち取ったのは、これが初めてだったんですよ。

 それまでは別の作品を見てもらってて、この役にって呼ばれたり、主役受けて、

 脇をもらったりとかって感じだったから。

 だからすごくいつも以上にやる気があって。

 今はないってわけじゃないんだけど(笑)。

 雰囲気に慣れるまで、ジントって少年を作り上げるまで、自分に近付けるため、

 すごく必死になってた。

 アニメになったときは特に。

 

川澄

 ちょっと他にないテイストの作品ですよね。

 キャストも外画とかやられてる方が多かったし。

 

今井

 うん。先輩が多くて助かった。

 

川澄

 緊張感というのは、他の作品の比ではなかった気がしますね。

 

今井

 そうだよね。

 でも、私たちも含めて、監督も、みんなが初めてのことだらけで。

 セリフひとつひとつもふくめて、やっぱり音響監督の小林さんもそうだと思うし、

 毎回来られる各話演出の方も、監督も、みんな苦労してましたよね。

 うまいこと、支えあってたかなぁっていうのはあったかな。

 普通、なかなかスタッフの気持ちは、役者にはわからないで終わってしまうとか、

 その逆もあったりするのだけど、こうやって、各シリーズは短いんだけど

 長いスタンスでやっていけるってのは、ほんとうに嬉しい。

 

 この前、いままでの作品が、DVDボックスになって、オーディオコメンタリーを

 やって、結構、私を中心に、監督なんかも結構、恋愛話、言ってたけど。

 

川澄

 いやぁ、由香さんが一番言ってたよ。

 

今井

 あぁぁん。私、なんであんなこと言っちゃったんだろう。

 

川澄

 由香さんが「わたしはこのとき、つきあってた人がいてね」とか突然言い出して。

 

今井

 ああ、そうそう。

 

川澄

 びっくりしちゃった。

 いや、たしかにいましたよね。

 

今井

 いたいたいた(笑)。

 

川澄

 そんな話をしてたんですよね。その当時の方もそうですし、その…。

 ここから先はあんまり言わない方がいいかも(笑)。

 

今井

 (笑)。

 

川澄

 ジントとラフィールみたいになれたらいいのにね、なんてよく話しましたね。

 

今井

 昔はね、よく、みんなでお茶したり、呑みにいったりしてたもんね。

 私は、信用できるなぁと思った人には、結構プライベートなこと

 ズバズバ言っちゃったりするんですけど。

 でも、なんで、あのとき語っちゃったんだろうなって。

 

川澄

 結構、語りましたね。

 

今井

 ちょっと後悔しつつ。

 

川澄

 いやいやいやいや。

 みんな嬉しかったと思いますよ。

 

今井

 (笑)。

 そういう話をしてこそ、仲が深まるってもので。お互いに。

 ちょっと、私のことはいいんだけど、ジントとラフィールの今後っていうか、

 Ⅲの下巻のオーディオコメンタリーでも森岡先生も長岡監督も言ってたけど、

 二人とももう大人になってると。

 

川澄

 ほんとに。

 

今井

 大人の恋愛っていうのも、ちょっとづつ意識してくるって。

 

川澄

 私、ジントっていう子が、ものすごい過酷な運命で、子供のころマーティンから

 デルクトゥーに行って、ずっとひとりで、星界軍に入るってことになって、

 気が重くって、そこで迎えに来たのがラフィールでよかったなと、

 自分がラフィール役だけど思いましたね。

 

今井

 うん。

 

川澄

 あれで、普通の、なんてことないアーヴが、なんてことないアーヴってのも

 ひどいな(笑)。

 

今井

 (笑)。

 

川澄

 まぁ、普通のアーヴが迎えにいってたら、別になんの事件もおこらず

 「お迎えにまいりました伯爵公子」みたいな。でも、ラフィールが来たことに

 よって、ここまで運命が…

 いあ、運命が変わったかどうかはわかんないんだけど(笑)

 

今井

 いやぁ、うん。

 変わったでしょう。

 

川澄

 ここまでジントくんが前向きになれたとのはラフィールと出会えたからですよね。

 お互いにとって唯一無二の存在、ラフィールにとってもジントはそうだし。

 まぁ、きっかけは、ささいな、自分のことを知らなかったと。名前を尋ねられたのが

 はじめてで「ラフィールと呼ぶがよい」だったかもしれないけど。

 

今井

 それまでは、結構、普通にしゃべってたのがね、知ったとたん、苦笑い作り笑いが

 でるようになっちゃって。

 

川澄

 そこで、怒っちゃうラフィールがすごくかわいくて。

 なんか王女ならではの悩みなんだけど、彼女にとっては切実で。

 全然違う理由なんだけど、お互い疎外感を感じてたってことで親近感を

 持っちゃって。

 

今井

 うん。

 

川澄

 これはアニメの方なんだけど、愛の娘について語りあうシーンで、なんだろう、

 ベッドに横になっているけど…

 

今井

 全然意識してないよね。

 

川澄

 うん。

 なんか、それが清々しいというか。

 たとえばですね、こう上になるんですよラフィールが。

 

今井

 うんうんうん。

 

川澄

 それが、とても清々しく、別に頰を赤らめたりもせず、ジントはどうだったか

 知りませんけど。

 そのシーンが幼くって好きでしたね。

 

今井

 そうなんだよねぇ。

 普通だったら、お互い、そのとき好きじゃなくても、ちょっと意識しちゃうもん

 じゃないですか。年頃の男の子と女の子だし。ふたりっきりだし。ふっと会話が

 なくなっちゃったときとか、あれ? とか意識するんだろうけど、

 それどころじゃないと。

 

川澄

 なんだか、かわいらしい。

 まだ十五歳とかだから。

 ほんとの十五歳はどうだか知りませんけど、いまどきは。

 

今井

 いまどきはねぇ(笑)。

 

川澄

 ねぇ。

 

川澄

 で、なんか、いろんなことをくぐりぬけて、…私、何度も言ってますけど、

 紋章の最後のジントのナレーションにつきると思いますね。

 あれね、最高でした。由香さんの。

 

今井

 あれを言うまでに、川澄ちゃんも含めて、みんながいい雰囲気に

 持ち上げてくださって、言いやすかったし。

 いろんなセリフが、二人だけでもあったし、他の方とのもあったんだけど、

 なんか現実でも使えたらいいのになって思うんですよね。

 でも、現実に好きな人に言えるかっていったら、恥ずかしくて(笑)。

 

川澄

 「そなたの遺伝子が欲しい」について、二人でかなり熱く語りあったことが

 ありましたね。

 

今井

 あったね(笑)。

 

川澄

 どうよ?って。そこまで思えるのって、どうよ? みたいなね。

 

今井

 羨ましい(笑)。

 

川澄

 あ、違う。「ぼくの遺伝子にかけて」だ。

 

今井

 それそれ。

 それもねぇ、はぁ? って思われちゃうでしょ。現実だったら。

 「いい病院知ってるから」って、つれていかれちゃう。

 

川澄

 とにかくね、紋章のラストのナレーションですよ。

 「それがぼくの意志だ。自分の意志で選択した未来だって」言うんだよジント。

 なんて決意だ、この男! って思いましたもん。あれはもう、ジントのことを

 好きになるよ。ラフィールは聞いてないんだけれども(笑)。

 

今井

 ああいう人、なんか見かけはすごく地味だけど、中身をちゃんと見抜けるそれなりの

 女性だったら、すごく合う。

 

川澄

 ラフィールも純粋なんでしょうね。

 

 

今井

 そうね。

 二人は、幸せになってくれればいいと思うなぁ。

 

川澄

 そうだね。