第7話 ただいま。おかえり。
2007/05/19放送
駆けつけた真のネーブラによって、辛うじて千早のヌービアムは撤退し、春香とインベルは危ういところを救われる。しかし、インベルは中枢であるコアこそ無事だったものの機体各部を破損し、春香も重傷を負ってしまった。
意識を回復したものの、壊れたインベルの姿を見て自分のせいだと泣き崩れる春香に、雪歩や伊織はなぐさめる言葉もない。
……一週間後、春香の傷も癒え、整備クルーの昼夜を問わぬ作業によってインベルの修理も完了した。しかし、スタッフの待ち望むインベルの起動実験にも、春香の心は沈んだままだった。幼い頃、離婚した両親のどちらにも引き取られなかった春香は、嫌われるという事に過敏になっており、インベルに嫌われたと思いこんでいたのである。その心を映してか、インベルも全く反応せず、春香による起動実験は失敗する。
誰にも告げず、ひとり故郷へと帰った春香の心を、えもいわれぬ後悔と寂しさの感情が襲う。そんな孤独な涙にくれる春香に一陣の風が吹きつけた!
春香の傍らには、巨大なインベルの姿があった。伊織の必死の説得が通じたのか、インベルは春香の故郷へ、彼女を迎えに来たのである。
風に乗り春香の元に舞い降りる一輪の白い小さな花。
iDOLとマスターはお互いの信頼を取り戻したのだった。
第8話 コンペイトウ夜話
2007/05/19放送
夏のある日、モンデンキントJPの面々は、iDOLの整備とスタッフの慰安をかねて、南の島の「整備島」へとやってきていた。そこはiDOLのボディパーツの開発とテストが行われている島である。
水着ではしゃぐ面々を後に、インベルの整備が行われている格納庫へと足を運ぶ春香は、徹底した分解整備でコアを剥き出しにしたインベルの姿に驚く。そこで春香はあずさから、iDOLと人類の出会いの物語を聞かされる。
……iDOLの本体であるコアは、ロスト・アルテミス=月の崩壊によって地球に降り注いだ隕石の中から発見された未知のシリコン結晶体であること。
無限のエネルギーを持つ、そのコアは5つ存在すること。
そのコアのインターフェースとして開発されたのが、巨大な人型フレームであり、それがiDOLであること。
そして、あずさは、心があるかのように見えるiDOLの反応も、ただの物理反射に過ぎないかも知れないと春香に告げるのだった……。
あずさの言葉に、iDOLという存在は何なのかと思いを巡らせる春香だった、しかしインベル自身にしか、その答えは解らないのかも知れない……。
その晩、春香は夜間訓練をあずさに申し出る。律子たちの手によって春香のリボンと同じピンク色に胸部をペイントされ、整備も完了したインベルとともに春香は夜の海上へと飛び立った。
コンペイトウスノーの輝く空の下で、あたかもデートする男女のようにフライトを楽しむ春香とインベル。
巨大ロボットであるインベルに、「心」を見出した春香は、改めてインベルに自分の自己紹介をはじめるのだった。
第9話 鍵盤
2007/05/19放送
モンデンキントJPでは、iDOLの性能を向上させるための機器ハーモナイザーによるiDOLの調整が行われていた。戦うために性能を上げなければならないのかと問う春香に、ジョセフとあずさは敵対組織トゥリアビータの事を話す。
……かつて、モンデンキント内でiDOLの研究開発部門であったトゥリアビータは、iDOLを悪用しようと目論み、ドーン・オブ・パープルムーン(夜明けの紫月)と呼ばれる事件を起こして、プロメテウス3・ヌービアムを強奪したこと。そして、iDOLの性能を上げるのは、モンデンキントとトゥリアビータに圧倒的な戦力差をつくり、手出しをさせないための防衛策でもあるのだと……。
しかし、現行の整備スタッフでは、どうしてもハーモナイザーによる調整が上手くいかない。iDOLの発生する微妙な「音」を聞き取ることができないのだ。それができる人間はただひとり。かつてモンデンキントで整備を担当していた双海亜美だけだという。
春香は、ジョセフとあずさに頼まれ、亜美をモンデンキントに戻るように説得するため、雪歩と伊織を引き連れてTV局へと向かう。
戻ってきてくれるように頼みこむ春香に、亜美は「アイドルマスターなんて辞めたほうが良い」と告げる。「iDOLは人を悲しませることしかできない」と……。
春香は真から、亜美の過去に何があったのかを聞かされる。7年前、双子の妹である真美と共にプロメテウス4・テンペスタースが失踪したのだ。真美の「テンペスタースがゴメンって言ってる」という最後の通信を残したまま。
その事件以来、iDOLやモンデンキントに背を向けたままの亜美に、このままでは消えた真美の気持ちも、「ゴメン」と言い残したテンペスタースの気持ちも、なにも解らないまま本当に消え去ってしまうと、春香は説得を続ける。インベルがモンデンキントのデータベースから見つけ出した、亜美と真美とテンペスタースの2人と一体で作曲した曲が流れる中、亜美はモンデンキントへの復帰を決意するのだった。
第10話 不協和音【雑音】
2007/05/19放送
双海亜美が復帰したモンデンキントJPでは、ハーモナイザーによるiDOL調整が進む。
その復帰を歓迎していない真は、亜美にモンデンキントに戻ってきた理由を問いつめる。
春香とインベルの関係を見て、iDOLの「心」をもう一度信じてみようと思ったのだという亜美に、真は語気も荒く「iDOLは道具であって心などない。あってたまるか」と激怒する。
やがて、亜美によるハーモナイズの結果を受けて、iDOLとアイドルマスターの新シフトが発表された。ネーブラのアイドルマスターには水瀬伊織。予備人員として菊地 真……。念願が叶い張り切る伊織に対して、真の心は深く沈む。
モンデンキント資材部の要請で、月の破片を軌道上から回収する「キャンディーキャッチャー作戦」を任せられ、伊織がネーブラで発進していく。その前夜はモンデンキントのコンピュータでの下調べに余念のなかった伊織だが、そのコンピュータに外部からのアクセスがあったことを知るよしもない……。
無事に月の破片をネーブラで確保することに成功した伊織だったが、再突入直前に異変が起こる。ネーブラのコントロールが安定せず、コースを外れたのだ。さらに隕石を支えきれずにネーブラの腕部は破壊されてしまう。危険なドロップとしてモンデンキントNAにミサイルで隕石ごと迎撃されてしまうネーブラ。
大事には到らなかったものの、伊織はネーブラのアイドルマスターから外されてしまう。そして、ふたたびネーブラのアイドルマスターとなった真だったが、その心は激しく揺れ動いていた。
第11話 ニヴルヘイム
2007/05/26放送
5体目のiDOL・ヒエムスが、アイスランドに存在する可能性があるというモンデンキントEUからの報告により、春香たちモンデンキントJPの面々は、iDOLと共にアイスランドへと調査にやって来ていた。
一同を迎えたモンデンキントEU所属の朔響の説明によれば本来、地震の多発地帯であるはずのアイスランドで、この20年間に大きな地震が発生しておらず、その原因は地殻プレート付近に存在するヒエムスの作用による可能性が大きいというのだ。
その情報はトゥリアビータ側にもキャッチされていた。千早とリファが、ヌービアムと新たに建造されたiDOL・エピメテウスでアイスランドに向かう。
グリムス山の火口深く、マグマ溜まりにヒエムスの存在を捉えたモンデンキントJPは、インベルとネーブラを向かわせるが、その前にヌービアムとエピメテウスが立ちふさがった。
ヌービアムに善戦するインベルに対し、エピメテウスと戦うネーブラは、真の精神的な不安定のためか苦戦を強いられる。
そして二組のiDOLとマスターの激突し合う闘いの中で、その共鳴を受けたヒエムスが覚醒、産声にも似た激しい電磁波の発振により、活動中のiDOLは気を失ったかのように動きを止めてしまうのだった。
一切の活動を停止したインベルを前に途方に暮れる春香。その春香の目前に現れたのは、同じく活動停止に陥ったヌービアムから脱出してきた千早だった。代謝機能の低下により意識を失ってしまった千早を、春香は敵側の人間とは想像もせず、自分の肌で暖めることで蘇生をはかる……。
第12話 ムスペルヘイム
2007/06/02放送
モンデンキント本部から、アイスランド住民の安全よりも、ヒエムスの入手を優先せよという通達が来ていた。アイスランドが壊滅するかもしれない事態ではあるが、それよりもアイドルの確保を優先せよと言うのだ。
モンデンキントJPの必死の捜索にもかかわらず、広大な氷原に姿を消した春香とインベルの行方は未だ知れない。
その頃、春香の介抱により意識を取り戻していた千早は、自分の所属をモンデンキントEUと騙り、春香からインベルの紹介を受けていた。
インベルのことを親しげに語る春香に対し、湧き起こる嫉妬にも似た感情を抑えられない千早は、遂に感情を露わにして春香に銃を向ける。しかし、ヒエムスの活動再開にともない起こった地震によって、春香は辛くも危機を脱する。
一方、真はネーブラとの不調和を押して、ヒエムスを確保するために火口内のマグマに独断潜行するが、現れたリファのエピメテウスに翻弄され、ついにネーブラはマグマの中で動かなくなってしまう。
最悪の状況に、アイドル課課長ジョセフ・真月の英断が下る。ヒエムスをあきらめ、アイスランド住民および、火口内のネーブラと真の安全を最優先せよ。
通信の回復した春香とインベルによって、グリムス山火口に、慣性エネルギーだけのトレークハイト・ブレッヒャーが打ち込まれた……。
5体目のiDOL・ヒエムスこそトゥリアビータに持ち去られたものの、奇蹟的にアイスランド壊滅の大地震は回避され、ネーブラと真も救出された。春香とインベルの奏でた奇跡的な<シンフォニー>が、それを成し遂げたのだ。
しかし、その陰には、暗く心を沈ませる真と千早の姿があった……。